備忘録代わりに利用して申し訳ないが、この場所に書き留めておこう。
先日、頼みを断れない程度に借りがある知人から、姉を助けて欲しいと言われた。
地位も財も学歴も無い、冴えないただの一般男性として生きる私を頼るということは、問題事の内容に察しがつくというものだ。
怪異、霊障の類だ。それも今回はよりによって妖精案件らしい。
グルアガッハもしくはグローガンなどと呼ばれる妖精が、知恵を失った大鴉の末裔達を操って知人の姉を攫おうとしているのだとか。
知人の姉が狙われる理由も、付け狙っている"その"グルアガッハにも心当たりがある私には、その話を世迷言と跳ね除ける余地はなかった。
そもそも知人の頼みを断れば、私はただの一般男性として社畜人生を送ることすらできなくなってしまう。
妖精の類には極力関わり合いたくないのだが、今回ばかりは仕方ない。
今回使用する魔術武器として応酬剣フラガラッハを参考にした自動反撃装置を用意する。
メインとなる材料、媒体として水晶を加工した短剣を海塩によって浄化(初期化)する。
太陽光(出来る限り早朝を除く午前の光が最適)に短剣を晒し、水晶の中に太陽光をチャージする。この際、サンストーンを用いて補助する。
*月光には決して晒さないこと
短剣(短剣の中で同じ形を保つ太陽光)にフラガラッハを模倣(投影)させるが、作用のブレや予期せぬ挙動を抑えるための術式を組み込む。
発動対象を指定し、発動条件を対象による短剣の所持者への襲撃とし、短剣自身が自動的に襲撃者を攻撃、撃退する。
術式発動の瞬間から、短剣を中心とした一定距離内の時間を観測し、襲撃者の撃退に失敗した場合はその時点で観測時間を固定。観測時間の開始まで遡り、撃退が成功するまで試行を繰り返す(ループする)。成功時点で、撃退に成功した時間軸を固定して前後の時間と繋げ、試行回数をリセットする。
短剣を複数所持する場合、1襲撃者に対し1本の短剣で対応するが、短剣に対し襲撃者の数が多い場合、1襲撃者ごとの撃退成功結果を圧縮し、全ての襲撃者の撃退成功結果をほぼ同時間に並列させ、短剣の挙動を調整する。
ひとまずこれで試作し、試験運用してみるとしよう。
魔術武器の名称はフラガラッハ・レプリカとする。