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uriuri0416

バイバイ・ブルー

uriuri0416

2014年01月21日 05:51
憂鬱な王子さま 1

「黒子っちください」

とっさに口から飛び出た一言だったけど、あの時俺はかなり本気だったのに、と黄瀬涼太は後から思った。
 
黒子テツヤは、あっさりと「すみません」と頭をさげた。あっけなく黒子に振られた。
女の子にも振られたことのない黄瀬が、初めて経験した失恋、みたいなものだ。

黒子とは中学の時バスケ部の仲間だったが、黒子は途中でバスケ部をやめた。
全国大会の決勝が終わった途端に姿を消してしまったのだ。
黒子は理由を言わなかったし、あの時は誰も彼を追わなかった。
何かもう、チームの雰囲気自体がチームという感じではなかったからだ。

今でも黒子がやめた理由はわからないし、バスケもやめてしまうのかもしれないと漠然と思っていたけれど、高校に入って最初の練習試合が黒子テツヤのいる誠凛高校と組まれたと知った時、思わず誠凛高校を訪ねてしまった。
黒子がバスケ部にいるのか知りたかったからだ。

黒子はいた。
白いTシャツに、バスパン、バッシュを履いた黒子テツヤがバスケコートに立っていた。
彼は変わってなかった。
大きなどんぐり眼、寝ぐせのついた髪。
影が薄いと言われる黒子だが、コートの中にいる黒子の姿が目の前に飛び込んできた時、黄瀬の目には黒子のいるその場所だけ輝いて見えたものだ。

黒子がバスケを続けていてくれた。それがうれしかった。
喜びのあまり、口走ってしまったのだ。「黒子っちください」と。

黒子にはばっさりとふられてしまったが、黄瀬はあきらめられなかった。
「冷たいっスよ、黒子っち。俺、女の子にも振られたことないんスけど」
冗談めかして言ったけど、やはりショックだった。黒子が誠凛をやめて、黄瀬の学校にくるはずないってことはわかっていたけれど。
それでももう一度アタックした。
今度は誠凛との試合の最中だったがかまわなかった。
自分の気持ちに素直に、というのが黄瀬のモットーだったからだ。
どうせ振られるとわかっているくせについ口説いてしまう。言わずにはいられない。
黒子はいつも黄瀬にはつれなかった。
しかも、どうも黄瀬にだけ冷たい気がする。
俺はMっ気があるのだろうか、と黄瀬はため息をついた。
冷たくされても拒絶されても、黒子を悪く思えない。
でも黒子っちに嫌われているとは思えないんだけど。

誠凛との練習試合。
「やっぱり、黒子っちください」
試合中だというのに、黄瀬は黒子を口説いた。
「黒子っちの才能を生かせるヤツは誠凛にはいないよ。
俺の学校に来て、またいっしょにバスケしようよ」

黒子は言った。
「誠凛にはいない……黄瀬君はそう思いますか?」

黒子の目の中には火神がいた。

火神大我を見たとき(青峰に似てる)と思った。
黒子は新しい光を見つけたんだ。火神が黒子の新しい相棒だと。
容貌が似てるというのではない。雰囲気だって違う。
頑強そうなフィジカルと破格のパワーを持ち、ガンガン攻め込む青峰と同じタイプのプレイヤーなのだ。
たぶん、黒子の好きなタイプなのだ。
だが、まだまだ青峰には遠く及ばない。
青峰は別格だから。
少なくとも今は。
 
練習試合中、黄瀬は徹底的に火神をマークした。
今つぶしておかないと、そう感じたからだ。
 
なのに、結局黄瀬は黒子達に負けた。ショックだった。
練習試合とはいえ、黄瀬は試合で負けたことがなかった。
勝つことがあたりまえだったからだ。
栄光の帝光中の時からずっと。

黒子に振られ、試合にも負けて、踏んだり蹴ったりの黄瀬涼太の高校生活はこうして幕を開けた。

 「
「はぁ」中2までは黄瀬の人生は体育だった。
生きていてもつまらない、とさえ子ども心に思ったものだ。
「どっかに強いやついないのかなぁ。誰でもいいから、俺を燃え上がらせてくれよ」
バスケを始めるまで。
いつからか、黄瀬にとっては憂鬱なのが普通のことになっていた。
覚えてないくらいだから、ずいぶん昔の子どもの頃からなのだろう。
 
黄瀬はなんでもできた。特にスポーツに関しては、器用なのか、運動神経の賜物なのか、一度見たら次の瞬間には相手と同じことが出来るという特別な能力を持っていた。
 
その力が黄瀬の人生によかったかどうかはわからない。
どんなスポーツもいつだって最初はいいのだが、すぐに冷めてしまう。相手になるがいないからだ。
相手にしてみれば、何しろ長いこと努力して身に着けたプレーを初心者の黄瀬が一瞬で身に着けてしまい、あろうことか自分より上手くなってしまうものだから、ショックを受けてやる気をなくしてしまうのだ。

(こいつとなら遊べるかも)といつも期待してはがっかりするというのを繰り返し
ているうちに、しだいに若い心は冷め、孤独のうちに荒んでいった。
できない人間のことが理解できないので、下手くそなしょぼいやつを見るとイライラした。
黄瀬は勉強はほどほどにできればよかったし、女の子には必要ないほどモテた。
何不自由なく見えながら、黄瀬涼太はいつも死ぬほど退屈していた。
明るい雰囲気と華やかな外見とは裏腹に、いつも心に憂鬱を抱えていた。
ある日、青峰大輝に出会うまでは。そして黒子テツヤを知るまでは。

青峰はバスケットボールを始めるきっかけをくれた。
青峰はバスケの天才であり、自分ががんばっても敵わない初めての相手だった。
青峰に出会って、黄瀬は初めて自分の人生が動き出すのを感じた。
そして黒子テツヤは……黒子テツヤは何だろう?

黄瀬涼太は黒子への複雑な気持ちを言葉では言い表せないでいる。
黒子を見ると、それだけでなんだかうれしくて妙に気持ちが高まる反面、また憂鬱が顔を出してくる。
黒子を見ると気持ちが上がったり下がったりして切なかった。
そんな複雑で甘酸っぱい中学時代を、時折黄瀬は思い出した。
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