家に帰って、僕は風呂に入った後、真っ先に机に向かった。締め切りまであと二日だから早めに済ませてゲームがあるしたい。両親は共働きで妹は『仕事』である。なんの仕事かって?
まぁいわゆるアイドル系だな。それもとことん人気があるらしい。親も親で妹を誇りに思っており、漫画家デビューした僕になんて目もくれなかった。
机に置いてあるスマホを手にとり、妹に電話
をかける
『もしもーし、アニキぃ?』
『もしもしチサト?母さん仕事で遅れるから
冷蔵庫のカレー食べてって…』
『あー…あーし友達とコンビニ行ったあと
お泊りして来るからいいよ』
『おいおい、アイドルなんだからもうちょっと
健康なもの食べないと』
『は?ウッザ』(ブツッ)
とんでもない言葉を置いて電話をきりやがった
皆さんもう一度言います。彼女はアイドルです
…なんかこの流れ見てると、自分がどれほど
サブキャラ体質なのかがよくわかる
現実の妹と二次元の妹は違うっていうけど
これはあんまりじゃないかな
どうやら彼女は絵を描いてる人はオタクで
現実見ない童貞ニートだと思ってるらしい
『…現実を見ない、か』
僕は走らせたペンを止めて、座ったまま天井を
見上げる
『その表現は違うな…所詮僕は現実から逃げているだけだ。だからこうやって自分の世界を作って、妄想を広げてるんだろうな』
僕は原稿を破り捨てた
『アスナさんの言う通りだ。これって
独りよがりの世界を作ってるだけだよな…
しかもその世界ですら主人公ができてない』
僕はどの世界でも
主役になれない
『捜索中』