相棒交代劇以降の作品中、ずばぬけて素晴らしいタイトルだと思います！しかも、官房長が冒頭一発「消えた年金、消された年金」というセリフを言うので、このタイトルにも関わらず、内容も記憶できるという優れモノ作品でした。
これについてはいろいろ語りたいところですが、一個だけあげるなら、やはり「ぼんじり」でしょうか。
「ぼんじり」を知らずに美味しいねと言う官房長、すっかり変装がばれて開き直りの神戸が「ぼんじりってどれですか？」とあっさり問えば、なにもかも承知で鶏の尾を食わせる右京…。相棒節ですね～。

「相棒」には音楽が良きスパイスになっている話が多々ありますが、これはタイトルこそが「バードランドの子守唄」を連想させこそすれ、内容的にはそれとは無関係。いっそ清々しい＠神戸　くらいの、やり直しの利かない、青春の輝きへの憧憬を引きずる中年男の悲哀の話だったと思う訳です。
冒頭の、返却された証拠品が「大正時代の福助人形」というところからして、古臭いもの、過去のもの、というモチーフでした。舞台も奥多摩の旅館、バブル期を思わせる別荘、JAZZ研のマドンナ、黒木の家の古い平屋など、あからさまな「時代遅れ感」を廃刊寸前の雑誌に重ねさせていくところなどは、「あの頃はよかったなぁ」というのが口癖の定年間際の団塊世代的哀愁です。
JAZZの持つクールでスマートな印象そのままに、青柳は理恵をあくまでも「我々のマドンナ」として扱います。決してそこに黒木のような独占欲を感じさせない。彼の逮捕に、彼の雑誌を持って佇むのが誰よりもクールに見えた宇野であった、というのもSO　COOLでしょう。
青柳が犯行時に使っていたドライビンググローブっていうのも…今時どーよ？という感じで、頭からしっぽまで今作のテーマは「時代遅れ」だったのだなぁ、と思う訳です。
＊西東京バスのカラーも渋くって（古臭い？）いいでしょ？私にとっては馴染みのバスなんです～＾＾！