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この作品 「或る暑い夏の日、祖父の家で見た少女の幻影と、それに纏わる奇妙な話」 は 「オリジナル」「小説」 等のタグがつけられた作品です。

■━━あれは確か、俺が大学一年の夏休みの頃だったか 当時、専攻していた学部の関係...

コトバノリアキ

或る暑い夏の日、祖父の家で見た少女の幻影と、それに纏わる奇妙な話

コトバノリアキ

2012年9月2日 02:55
■━━あれは確か、俺が大学一年の夏休みの頃だったか 当時、専攻していた学部の関係で、ラフカディオ・ハーンや井上円了の著書を漁っていた俺は、父方の祖父の家に『出る』と言う 不思議で奇妙な幽霊の話を父から聞いてしまい、矢も盾もたまらずに電車に飛び乗った。 何本もの電車を乗り継ぎ、果ては日に何本も出な...続きを見る
■━━あれは確か、俺が大学一年の夏休みの頃だったか

 当時、専攻していた学部の関係で、ラフカディオ・ハーンや井上円了の著書を漁っていた俺は、父方の祖父の家に『出る』と言う

 不思議で奇妙な幽霊の話を父から聞いてしまい、矢も盾もたまらずに電車に飛び乗った。

 何本もの電車を乗り継ぎ、果ては日に何本も出ないようなバスに揺られて辿りついた祖父の家は

 高原の中腹にある草原を背にした、旧くも立派な平屋造りの『これぞ日本の田舎だ』とでも言わんばかりの木造建築だ。

 ほぼ半日の時間をかけ、遠路はるばるやって来た孫を暖かく迎えてくれた祖父は、八年前に祖母を亡くしてから一人でこの家に住んでいる。

 数日分の着替えとレポート等の書類や資料を纏めたファイルを詰め込んだ旅行鞄を居間に置き、麦茶を飲みながら田舎の空気を堪能していると

 なにやら裏庭を気にした風な祖父が、俺を穏やかな声音でそっと呼んだ。

 「ほれ××(俺の名前だ。正直、男の名前とは思えないので意地でも伏せる。)裏の草っ原のあの辺り、雲で影が出来る時に見てみろ」 と。

 *****

 蒼く抜けるような空、聳え立つ純白の入道雲、そしてぎらつく日差しが草原に投げかける濃い黒の影になる辺り

 果たして、其処には純白の少女と犬の幻影が、鮮明に、朧げに、幾ばくかの矛盾すら内包して、ソコに在った。

 日が翳れば発光するかの如くくっきりと、日が照らせば淡雪の如くぼんやりと移ろうその儚げな姿と、非現実的な風景を目の当たりにし

 奇妙な既視感を覚えながらも、俺はその光景に魅せられていた。

 ━━どれくらいじっと見ていただろうか、夏の長い日中とはいえ、流石に日が沈む頃合になった頃

 まるで『これが高地のお約束』とでも言いたげに、バケツの水を引っ繰り返したかの様な、土砂降りの雨が降り出した。

 すると少女は、残念そうに空を見上げると、水煙にけぶる視界に溶けるように━━大気の中へ透き通るように━━スッと消えていった。

 先程まで幻想の世界を現実の物としていた、裏庭に面した窓は、曇天と、激しい雷雨が降り付ける草原を映すだけとなった。

 *****

 あの雨が止み、早めの夕食を済ませた俺はあの奇妙な現実か、はたまた白昼夢かとも思える少女の姿を思い出しつつ、ああでもないこうでもないとレポートを記していた。

 祖父が差し入れにビール(未成年だからと言って、ウチの祖父は容赦してくれないらしい)といくつかのツマミを持ってきて、
 
 卓袱台でレポートを纏める俺の真向かいに腰を下ろす。その手元には、古ぼけたアルバムが二冊。

 祖父の姿に眼を遣り、そういえば、と昼間から気になっていた事を聞いてみた。『…あれほどハッキリと見える超常現象が、何ゆえ有名になっていないのか』と。

 すると祖父は「何だ、そんな事か」と言って、こう述べる。

 曰く、『この家系の男衆にしか視る事の出来ない幽霊』だからだそうな。ますます持って奇妙で、不可思議な少女だ。

 なにか因縁があったり、悪影響は無いのか心配そうにしていると、祖父は笑って

 「なんにも悪さはしねぇのさ、あの娘は。ただ━━因縁、というよりも奇縁ならあるのかね」と応える。

 ━━奇縁? …そう訝しげにする俺に愉快そうな笑顔を向け、「まぁ、これを見てみぃ」と言って二冊のアルバムを広げ、とある写真を指差して示した。

 それは、祖父と父と叔父が子供の頃の写真だった。そこに仲睦まじげに写るのは、あの幻影の少女。

 一瞬、心霊写真かとも思ったが、そこに納められた少年と少女の姿はどう見ても只の幼馴染にしか見えない。

 これは…?と祖父を見返すと、祖父はにこやかな顔のまま、穏やかな声音で、心底驚く発言を投下した。

 「それなぁ、ウチの婆さんと、お前の母さんの若い頃の写真だぞ」

 *****

 奇妙な、そして恐ろしいまでの偶然か必然か、そういえば祖母と母が並んだ姿はまるで、同じ人物が時間だけ異にして其処に居るかのような

 そんな記憶を思い出した。当の本人達は「不思議な事もあるもんですねぇ」で済ませていたのを、子供心に突っ込んだものだ。

 祖父は穏やかに話を続ける。

 「なんだか解らないが、己(おれ)の母親…お前の曾婆さんもそっくりだったよ。三代続けばそりゃあ奇縁と言えようさ」

 ━━その言葉を聞いて、「成程、奇縁だ。」と思ったのも束の間、俺は昼間、あの少女を見た時に感じた既視感の正体に気が付いた。

 待て、思い出すな。 幼少期の曖昧な記憶が いかん。これは━━ああ、あぁ!思い出した!! あの少女から感じた既視感、あれは━━!!

 その瞬間、玄関の方から良く言えば元気な、悪く言えば喧しい、若い女の声が高らかに響いたのだ。 街灯も無い、夜半過ぎの山奥だぞ此処。

 「久しぶり××!さっきお爺から電話貰ったんだけどさぁ、こっち来てるんならさっさと顔出しなさいよね?!」

 ━━そう、俺の幼少期、祖父の家に帰省する度に様々なトラウマを植え付け、色々と振り回された、元気で無茶振りで暴走特急な夏季限定の幼馴染の━━

 背に掛かる黒髪を靡かせた従姉妹が、『あの少女』が妙齢になったかの面持ちで、母を若くした声音で、祖母━━に似ていると言ったら殴られるな、うん。

 兎も角、心底楽しそうにやって来たのだ。

 その時に感じた直感は、「あ、俺の人生終わった」であり「四代揃って奇縁だなぁ」でもあり『この娘と恐らく結婚するのであろう』というものだった。

 *****

 あれから数年。やはりというか宿命と言うか、あの幼馴染と付き合い、極自然に結婚した俺は

 先日亡くなった祖父の葬儀の為、親族と一緒にあの高原の街へ訪れた。奇しくもあの日の様な暑い夏の日。抜けるような蒼穹に聳える入道雲。

 父と叔父、そして俺とその従兄弟━叔父の息子だ━は、蒼い空を背景に佇む『あの少女』の姿をぼんやりと眺めていた。…やはりと言うか、当然の如く叔母も、写真で見た従兄弟の彼女も皆同じ顔である。

 母と叔母とそして『コイツ』が並んだ姿はもはや『どこの世にも奇●な物語だよ』と突っ込みを入れなければイケナイ気配すら漂っている。

 まぁ、それはこの数年で実際見慣れた光景なので今更だ。今重要なのは、彼女達の姿は『あの少女がなれなかった』だろう『大人』の姿であり

 それが指し示す何がしかの理由がこの家系に在るという事実━━なのだが、結局のところ何も解らず仕舞いだった。それも当然である。

 なにせ聞いた限りで百年余り。資料も無く、記録も無く、見ることが出来るのは家の男性陣のみときた。最早ワケが解らない所か、まじめに考えたら馬鹿を見る領域だ。

 父も叔父も、それに関しては「若い頃に諦めた」と言っていたからな。先人の言葉には逆らわないし逆らう意味も無い。

 つらつらとそんな事を考えつつ、裏庭に影が掛かったのに気付き、草原を見遣ると

 其処に変わらず佇む少女が

 ふわり、と微笑んだ様な気がした。

■夕方にみた見事な入道雲から脳裏に過ぎった妄想駄文をつらつらと。

 御犬様に特に意味は無く。わふ(・ω・)

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アブルイラリ2015年5月28日 11:01わふっ どろっぷ2012年9月30日 20:59目の錯覚で雲が動いてるように見えたのは俺だけだよね? 落ち葉2012年9月4日 00:38いいお話です。不思議でほんわかする物語ですね ふぇん2012年9月2日 23:52幼馴染みを忘れるだなんて、いかんな… ayakawa2012年9月2日 22:28将来こんだけ美人の嫁さんもらえたら嬉しいねぇ・・・ 矢舷陸攻2012年9月2日 14:29素晴らしい御伽噺でした。ところで見えたという事は、俺にも嫁が貰えるということですよね?(^ω^∪) 路傍のいし2012年9月2日 13:51長いから読む気なかったけど、読み始めたら最後まであっという間でしたよ。で、少女が見えたってことは俺も嫁をもらえるってことだな。 T-REX2012年9月2日 12:58ホラーではなく、怪談にもあらず素晴らしいお伽噺でした。 ところで、怪異譚とゆまスコの続きマダー? shibu-shibu2012年9月2日 11:18なるほどクリック推奨だwww 杉浦則博@お仕事募集中2012年9月2日 11:10見えたってことは嫁が貰えるってことで良いんですかね!? ハタモト2012年9月2日 09:00稀にみるキャプションの長さ…感服です(´ω`) けんろくパーク@喪中2012年9月2日 08:54キレイな空です(^▽^)  昔からこの空の蒼は変わらないのだろうなと、伸びるコントレールを見ながら 黒山2012年9月2日 08:15なんだろう、なんていうのかな・・・・・・とにかく凄い!! weasel2012年9月2日 08:08美しい文と絵に唸っていたのにまたアンケートがカオスw 錆縞アサヒ2012年9月2日 06:46ノリアキさん万能ッスね… 黒炎(Suluto)2012年9月2日 04:09途中で「あれ?自分今、小説読んでるんだっけ?」と思ってしまいましたw tea042012年9月2日 03:12わふっ(^ω^∪) guts2012年9月2日 02:59うぽつです^^犬カワユス( ´∀`)