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この作品 「ノスタルジック・シンドローム 「年上の女の子」」 は 「ノスタルジック」「背景」 等のタグがつけられた作品です。

 ある年の夏から、お盆の時期になるとやってくるようになった都会の女の子がいた。近...

EDC

ノスタルジック・シンドローム 「年上の女の子」

EDC

2015年11月7日 10:14
 ある年の夏から、お盆の時期になるとやってくるようになった都会の女の子がいた。近所に住んでるおばさんのお姉さんの娘だとかいうそいつのことを、子どものいないおばさんはずいぶんと可愛がっているみたいで、あめ玉を片手に「仲よくしてあげてね」とこっそり頼まれていた。 だけどそいつは、なにかにつけて、とに...続きを見る
 ある年の夏から、お盆の時期になるとやってくるようになった都会の女の子がいた。近所に住んでるおばさんのお姉さんの娘だとかいうそいつのことを、子どものいないおばさんはずいぶんと可愛がっているみたいで、あめ玉を片手に「仲よくしてあげてね」とこっそり頼まれていた。
 だけどそいつは、なにかにつけて、とにかくキザったらしいしゃべり方をするやつだった。俺のことを「君」なんて呼ぶくせに、「お前」って言い返せば「お姉ちゃんをつけなさい」とぷりぷり怒る。どこへ連れて行っても、なにを教えてやっても、いちいち「都会ではそんなところ行かないわ」だとか、「もっと楽しい遊びを知ってるのよ」なんて自慢を始める。そのくせ、いざ終わってみれば「向こうで過ごす夏よりもうんと素敵だわ」と顔をくしゃくしゃにして笑うんだ。
 いつしか俺は、お高くとまったそいつの鼻を明かしてやることが毎年の楽しみになっていた。吊り橋の上から川に飛び込んでみせたときの驚きようったらなかったな。「きゃあっ」って女みたいな悲鳴あげてやんの。でも2年目の夏になったら、すっかり俺のマネができるようになっていたっけ。
 そうして都会に帰る日が近づくと決まって、みょうにしんみりとした声で「来年も会えるかな」と呟く。俺が帽子を深くかぶり直して「当たり前だろばーか」って答えると、「約束だよ。またいっしょに遊んでね」って小指を差し出してくる。
 4年目の夏、あいつはもうやってこなかった。おばさんによれば、中学生になって部活が忙しくなったらしい。どうせいまでも、どこか遠くの空の下で、最後まで直らなかったあのキザったらしいしゃべり方をしてるんだろう。

■■■お知らせ■■■
2015年夏に開催されたCOMITIA113でご好評をいただいた「ノスタルジック・シンドローム」を連載化することになりました。
本作はBOOTHでも販売中の「ノスタルジック・シンドローム~2015 Summer~」より抜粋したものです。
毎月7日をめどに新作を上げていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。閉じる
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