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この作品 「ノスタルジック・シンドローム 「ある、冬の夜のお話」」 は 「風景」「雪」 等のタグがつけられた作品です。

 ある、冬の夜のお話。 窓の外で誰かが呼んでいるような気配を感じて、僕は真夜中に...

EDC

ノスタルジック・シンドローム 「ある、冬の夜のお話」

EDC

2016年2月7日 21:33
 ある、冬の夜のお話。 窓の外で誰かが呼んでいるような気配を感じて、僕は真夜中に目を覚ました。導かれるようにふらふらとベッドを抜け出し、重たいまぶたをこすりながら、そっとカーテンを開けてみる。 しんしん、しんしん、しんしん。 ……目の前に広がるのは、まるでひと眠りしているあいだに、おとぎの国へと...続きを見る
 ある、冬の夜のお話。
 窓の外で誰かが呼んでいるような気配を感じて、僕は真夜中に目を覚ました。導かれるようにふらふらとベッドを抜け出し、重たいまぶたをこすりながら、そっとカーテンを開けてみる。
 しんしん、しんしん、しんしん。
 ……目の前に広がるのは、まるでひと眠りしているあいだに、おとぎの国へと迷い込んでしまったような光景だった。青白い月の光に照らされてぼんやりと浮かび上がる、お嫁さんみたいにおめかししたマンションや外灯。大好きだった親戚のお姉ちゃんの結婚式でお父さんが教えてくれた、綿帽子っていうやつをかぶってるみたい。
 ふわふわ、はらはらと、まっ白な桜の花びらが舞い散っている。いつも車が行き交っている大通りには、タイヤの跡ひとつない。騒がしいあいつも、がみがみ怒る先生も、ポニーテールが似合うあの子だって、みんな夢のなか。この街から音が消えてしまったような静けさに満ちているのに、どこか毛布でやさしく包みこまれているみたいなあたたかさがある。
 きっといま、この世界には僕ひとりしかいない。そんなわけないってちゃんと知っているけど、人工的なコンビニの灯りさえ、手を伸ばしても届かない、どこか遠くでまたたく星みたいだ。
 だけどなぜだろう。胸にあふれているのは、取り残されてしまった寂しさではなく、世界の秘密を自分だけがこっそりのぞき見してしまったという後ろめたさとわくわく感。
 きっといま、この世界を僕だけが知っている。
 さあ、そろそろベッドに戻らなくちゃ。明日は、朝から家族総出で雪かきだ。閉じる
ab2016年2月7日 21:44『ロックマン2』のエンディングテーマ(前半の方)が似合いそうな絵だ。
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