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この作品 「優しさのオーバードーズ」 は 「風景」「夕焼け」 等のタグがつけられた作品です。

「来月、お前引っ越すんだって」彼は少し動揺したように見えたが、いつも通りの口調で...

ALPCMAS

優しさのオーバードーズ

ALPCMAS

2016年9月30日 22:09
「来月、お前引っ越すんだって」彼は少し動揺したように見えたが、いつも通りの口調で答えた。「知ってたのか。親の都合で都会のほうにな。うらやましいだろ」「別に」少し気まずい空気が僕らを包んだ。赤く染まった何処からか鈴虫の音が鳴る。先に静寂を破ったのは彼だった。「こういうのもなんだけどよ、こんな野郎で...続きを見る
「来月、お前引っ越すんだって」
彼は少し動揺したように見えたが、いつも通りの口調で答えた。
「知ってたのか。親の都合で都会のほうにな。うらやましいだろ」
「別に」

少し気まずい空気が僕らを包んだ。赤く染まった何処からか鈴虫の音が鳴る。

先に静寂を破ったのは彼だった。
「こういうのもなんだけどよ、こんな野郎でも仲良くしてくれてありがとな」
「うっせーよ馬鹿。死ぬわけでも無いだろうが」
「それもそうだな」

彼は軽く笑った。そして僕らはいつもの分かれ道まで無言で歩いた。

「そんな顔しなくたって明日もまだいるから安心しな」
「わかってるよ。じゃーな」
「また明日な」

いつもの場所でいつも通り別れた。僕は振り返らずに速足で歩いた。

「……じゃーな」

聞こえない声でつぶやいた。

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