「フォーチュン・クエスト」RPGシナリオコンテスト

最優秀賞（1名）

深沢美潮先生、はせがわみやび先生が実際にシナリオをプレイ！＆プレイイベントへの参加券 ,プレイイベントのリプレイをまとめた小冊子及び深沢美潮先生＆はせがわみやび先生サイン入り「フォーチュン・クエストRPG（ボックスセット）」 ,「フォーチュン・クエスト」30周年公式サイトおよび電撃文庫オフィシャルブログに、受賞作品へのリンクを掲載 ,迎夏生先生直筆イラスト入りサイン色紙【パステル】

斜蝶石

巨大地下都市の秘密（FQRPGシナリオ）

パステルたちは、シルバーリーブから近くの街まで大切な荷物を運搬する仕事を引き受けるが、途中で現れた謎のモンスターにその荷物を盗まれてしまう。

　荷物を盗んだモンスターを追いかけて洞窟へと迷い込むパステルたち。
　驚いたことにその洞窟の先には、「マネーコ族」の住む秘密の巨大地下商業都市が存在していた。この街に住む、マネーコ族と人間のハーフで冒険者志望の少女「ジェミィ」が仲間となって案内してくれることになる。

　ありとあらゆる専門店が並び品揃えも豊富な商業都市にワクワクしながら、パステルたちは早速、盗まれた荷物と泥棒モンスターの行方を探すためにお店で聞き込みを始める。
　この地下都市は洞窟ダンジョンのような構造をしており、時折モンスターが飛び出してくる。また、マネーコ族には商売をする上での独特な掟があって地上での常識は通用しない上、この街での買い物には「マネコバン」と呼ばれる独自通貨が必要となるため交渉には苦労するだろう。だが、パステルたちの努力によって何とか情報が集まっていく。

　調査の末、街の最深部にある地底湖の奥にマネーコ族も知らない古い遺跡があり、泥棒モンスターはこの遺跡のお宝を狙っている可能性が高いことが判明する。
　パステルたちは各々好きな方法でマネコバンを稼いで専門店で必要な道具や装備を買い揃え、遺跡へ向かい、そこで泥棒モンスターと対決することになる。
　無事に泥棒モンスターを倒せれば、盗まれた荷物も戻ってきてシナリオクリアとなる。遺跡を守ってくれたことをマネーコ族から感謝されて、マネーコ族との友好の証となるプレートを入手できる。（これは、今後この地下都市で自由にVIP待遇で買い物できるというすごいアイテムである。）

また、もともとの運搬任務の目的の街までマネーコ族の皆が地下通路で送ってくれるため、こちらの任務も遅れることなく無事に完了するのであった。

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モグラとネコを足したような亜人マネーコ族の街での大冒険シナリオでした。不思議な亜人の街の探索も面白かったですし、マネーコ族が如何にもフォーチュン・クエストに出てきそうな種族で楽しかったです。シンプルな構成ながらも、しっかりとしたストーリーで意外性もあり、ちゃんと落ちもある。ラスボスとのラストバトルには王道の仕掛けもあり、理屈にあった弱点も設定されている。シナリオ全体の見通しも良いのでＧＭもしやすい。総合力で文句のない最優秀賞でしょう。

優秀賞（5名）

深沢美潮先生、はせがわみやび先生が最優秀賞シナリオをプレイするプレイイベントへの参加券, プレイイベントのリプレイをまとめた小冊子及び深沢美潮先生＆はせがわみやび先生サイン入り「フォーチュン・クエストRPG（ボックスセット）」, 「フォーチュン・クエスト」30周年公式サイトおよび電撃文庫オフィシャルブログに、受賞作品へのリンクを掲載, 深沢美潮先生直筆サイン入りミニポスター

群青海

FQRPGシナリオコン「ベイカー！ベイカー！パラドクス！」

小麦色の縁取りの、可愛らしい白い蝶。
焼き立てのパンのような香りを散らすその蝶は、とんでもないパニックをもたらした。

「名前が思い出せないことがこんなに不便だったなんて！」

君たちは街の危機を救うことができるのか？

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羽ばたくたびに焼き立てパンのような香りを散らす蝶、という設定はファンタジーらしくて良かったです。その蝶の鱗粉が引き起こす効果として「名前（主に固有名詞）を言えなくなってしまう」というアイデアも楽しい。「パン屋」と言えずに、「ふわふわでもちもちの焼いてふくらんだ食べ物を作るひと！」とか言わねばならないわけですね。この手のトークに影響を及ぼすアイデアは、ともすれば会話を減らすことに繋がりがちだけれども、それを考慮してシナリオの中の肝になる部分をピックアップ。使えない言葉を指定して、その名前を使わずに他のプレイヤーに伝えなさい、と明記してあるのが良かったです。これならば、そのときだけ魔法の効果を意識して演じればよいですから。

ＭＯＭＯ

ビシャスを救い出せ！

深い深い森に迷い込んでしまったパステルたちは小さな村を見つけます
今いる場所を村人たちに聞こうと村に向かいます
村にたどり着きますが、村には誰一人歩いていません
どうしてだろう？
パステルたちが首をかしげていると事件が起きたのです

ビシャス狩りから攫われたビシャスの子供たちを助け出しましょう

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みんな大好きアクスとラップバードが、ほんとに原作そのままという感じで登場して楽しませてくれます。ストーリーはシンプルですが、破綻なく作られていました。パーティに追加される付き添いキャラの扱い方がうまかったです。キャラを追加すると、そのぶんだけ戦闘がややこしく負担が重くなるところを、シロちゃんのように思い切りよくアイテム扱いにして使いやすくしたところがナイスアイデアです！

十之瀬

FQRPGシナリオコン『奇跡の果実』

教祖リベラにより奇跡の果実を与えられたという街に立ち寄ったパステル達。
奇跡の果実と呼ばれたそれはあらゆる病を治すと言われており、その影響でリベラ教があるこの街は大いに栄えているらしい。
今夜の宿を探す途中で、パステル達は偶然、奇跡の果実を分けて欲しいと押し問答している男に出会う。
娘の病気を治したいという願いを受け、森にあるという果実を探しに行くパステル達だったが──。

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病を癒す『奇跡の果実』を売ることで勢力を伸ばしてきた『リベラ教』の秘密を暴く長編シナリオです。ちょっと「大魔術教団の謎」を思い出すかも。小さく始まったストーリーが終盤でどんどん大きくなっていき街全体へと影響するような話になっていく広がり方がよかったです。シナリオ終了時の後味の良さも評価に繋がりました。

レン

FQRPGシナリオコン【ハニーハント～おいしいハチミツと迷子の森～】

猪鹿亭のリタに頼まれ、シルバーリーブの近くの森にハチミツを取りに行く事になったメンバー達
簡単なお使いだと思ていったら、ハチミツを集めているのはモンスターで
さらには花によってハチミツにも色々種類があるらしく
街でしっかり情報集めをしないといけないかもしれない

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限られた時間内で、できるだけ多くの蜂の巣を見つけて蜜を取ってくる、というシナリオで、その蜂の巣の探索がゲーム内ゲームになっているのがポイントでしょうか。ミニゲームはシンプルなのですが、ジレンマがゲームの本質であることを考えると、よくできていると思います。プレイヤー全員でわいわい言いながらパズルを解くのは楽しいものです。ミニゲームを入れたぶんだけ、ストーリー性やドラマ性、意外性には欠けますが、シンプルでもきれいにまとめきったところが良かったです。

コボルトMM同好会

ジェローム・ブリリアント三世の受難

ＪＢことジェローム・ブリリアント三世からゲームのお誘いを受けたパステルたち。ＪＢは最近「マーダーミステリー」なるゲームにハマっているようです。ＪＢの住処についたパステルたちは、夕食をごちそうになりますが、その席でＪＢが倒れます。ＪＢを殺した犯人が誰なのか、ＪＢはなぜ殺されたのか、事件の真相を明らかにできるのはあなたたちだけです！

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フォーチュン・クエストＲＰＧでマーダー・ミステリー、というアイデアの豪快な一本釣りが受賞の最大要因です。ただ、アイデアが豪快なぶん、若干、実際にプレイするときの不安もありました。例えば、プレイヤーのファン心理としては、ＪＢの死体が転がっている状況で推理に没頭できるのか、とか。それならば、いっそのこと「ジュリエット草」の効果を変えて、ひょいっと起き上がったＪＢが、以後コボルトのもってきた「死体」と書いた看板を首から提げている──なんてほうがフォーチュン・クエストっぽかったと思います。でも、そんなこと気にならなくなるほどアイデアが秀逸でした。

佳作（5名）

深沢美潮先生、はせがわみやび先生が最優秀賞シナリオをプレイするプレイイベントのリプレイをまとめた小冊子

きり

【FQRPGシナリオコン】私だけの宝物

「どうか私に力を貸して欲しい」
一人の青年の熱意……もしくは勢いだろうか。
ともかく青年に頼み込まれパステルたちはアクニア山に棲む『凶暴』なレッドドラゴンの元へいくこととなった。
目指すはレッドドラゴンの持つ宝物『紅竜の涙』！
なんでも幼馴染へプロポーズするために必要らしい。
果たしてパステルたちは無事『紅竜の涙』を手に入れ、レッドドラゴンの元から帰ってくることができるのか？！
果たして青年は無事プロポーズに成功するのか？！

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ＮＰＣがそれぞれしっかり肉付けされており、これならばＧＭが操るときにも楽だろうと思います。シナリオ中、パステルに即興でお話を考えさせるところがありますが、これを知力判定でもよいものとする、と必要以上にプレイを難しくしない配慮も気が利いています。さらに緩和して、パステルひとりに負担させずに、プレイヤー全員の協力をアリとしても良かったかも。レッドドラゴンの棲み処から戻った後、「紅竜の涙」を思い出させるためにパステルたちのできることが限られてしまうのが残念でした。商人が下手な絵を持ち歩いていることにして、それをパステルたちに発見させる、などのイベントがあっても良かった気がします。

茎わかめ＠TRPG

スノードロップ・ラブストーリー

【旧タイトル→ゲレンデレンの雪雫】タイトル変更しました（照れ
～あらすじ～
　シルバーリーフより少し西にある、年中雪が降り続ける不思議な谷にある町「ゲレンデレン」。
ひょんなことからここへとやってきたPCたちは、町長から依頼され、不審な人影の調査を頼まれることに。
しかし、調査のために森へと向かったPCたちが出くわしたのは…

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誰も悪くなかったのに悲劇が生まれ、最後はそれでも救いがあるという展開は哀しみはあるが充分おもしろかったです。最後の戦闘が、途中で拾ったアイテムで楽になるのも、そのアイテムが単なるお助けアイテムではなく真相を伝えるヒントになっているのも良かったところ。ただ、「スキィは嵐になる前に帰れたはずだったが、ふたりを祝福するために洞窟に寄った為に帰れなくなってしまった」という悲劇の部分をもうすこし丁寧にわかりやすく伝える方法が欲しかった。ここが伝わらないと、スキィが死んだのはノルドのせい、と感じるプレイヤーが出てしまい、後味が悪くなります。

蒼記みなみ

【FQRPGシナリオ】軌跡をたどる者

シルバーリーブの遙か北、小さな港町エルドレアにやってきたパステルたち。
宿を探して街を歩いていると、シーフ見習いの元気少女エスカに出会います。

エスカに宿を紹介してもらった一行は、一階の食堂で晩ご飯をとります。
そこで声を掛けてきた老戦士ガランから、街に隠されている「魚の形の石」を探して欲しいと依頼を受けます。
報酬はひとり500Gと宿代と提示され、石の探索を始めます。

やがて、エスカも同じ石を探していることが分かります。
最初は争っていたものの、最後はパーティと共に行動するエスカ。
全ての石を集めると、街から見える離れ小島に宝があることが分かります。

パーティは、エスカと共に島へと向かいます。
島に巣くうリズーやゴンゴルゾーラを倒し、宝を手に入れます。
それはエスカの祖父がかつて使っていた、盗賊の七つ道具でした。

エスカの祖父が、エスカを一人前にするためにしくんだ試練だったことがわかります。
試練に協力してくれたパステルたちは、ガランから報酬を受け取ります。
そして、晴れて一人前と認められ、冒険に旅立つエスカを祝福するのでした。

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短いながらも、ストーリーにひとひねりあって、テーマもドラマもある。不自然に見えた部分がちゃんと伏線になっているのもよかったです。ＮＰＣの盗賊見習いエスカとの競争というギミックも面白かった。欲を言えば、エスカがパステルたちと行動を共にしてから、パーティの大事さを感じることができるイベントがもうひとつ欲しかった。それがあったほうが、「ひとりではできないことがあるから冒険者はパーティを組むのだ」というテーマがより伝わるようになったと思います。

盟

珍実をもとめて

料理人を目指す青年に、シルバーリーブの東の山にある珍しい木の実【キカの実】を取ってきて欲しいと頼まれたパステルたち。山にはモンスターが出るだけでなく、何かに失敗すると濁点が話せなくなる呪いもかけられていて……⁉

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>呪いにかかると濁点が使えなくなる、という発想はおもしろかったです。ただ、この手の会話に負荷をかけるアイデアはＴＲＰＧでは使用が難しいです（いちばん簡単な回避方法がしゃべらないこと、なので）。そういう意味では、このままではＴＲＰＧに慣れたプレイヤー向きのシナリオだと思います。１回の呪いの効果を５分とする、とか、経験点のマイナスは無しにする、とか。もうすこし細かい修正の余地がありそうです。あと、せっかくの「珍味」なのですから、食べて味を確かめたかった！

屑深星夜

【FQRPGシナリオコン】あの日の記憶を取り戻せ！

目を覚ますと何もない空間だった。
　君たちの前に現れたシロそっくりな黒い毛並みの“シロ（以降はクロと呼ぶ）”は、ここは『生と死の狭間』で自分はその管理者だと言う。
　彼の話によると、今現在パステルたちは「何らかの≪依頼≫を受けて訪れた『ダンジョン』で死にかけている」と言う。
　生き返るためには１２時間（ｏｒ２４時間）の間に、死にかけた時のことを思い出さなくてはいけないらしい。（つまり、制限時間内に『失われた記憶』を取り戻すことがシナリオクリア条件）

　１時間に１回行動できるというルールの元、『試練カード』を引くことで、なんでもありの『生と死の狭間』に様々な出来事が起こる。パステルたちはモンスターと戦ったり、宝箱や様々な罠と向き合ったり、過去の思い出を語ったり…して『失われた記憶の欠片』を取り戻していく。

　無事に『失われた記憶』を取り戻すことができた彼らは、現実世界で目を覚ます。
　生死をさ迷っている間、何か夢を見ていた気がするが……全く覚えていなかった。

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いきなりパステルたち全員が死んでいる（死につつある）というところから始まる斬新なシナリオです。　ダンジョン探索を思い出す、という設定でダンジョン探索をする。その途中で集めたキーワードを使って、最後に三題噺のようにショートストーリーを作ることができれば全員が生き返る、という凝った構成になっています。お話を作ることが好きなプレイヤーには楽しそう。そしてアドリブでお話を作るのが苦手なプレイヤーも想定して、ちゃんとその場合の対応を考えてあるのが良かったです。