ジーンピクシブ「ゆるキュンBL（ボーイズライフ）マンガ原作コンテスト2」 受賞作品
「ゆるくてキュンとする☆BL（ボーイズライフ）」をテーマにしたマンガの原作小説を募集した本コンテストには、1050作品以上の応募が集まりました。たくさんのご応募ありがとうございました。
応募要項を見る
大賞
賞品：賞金10万円＋ジーンピクシブにてコミカライズ連載・単行本化
大学生になったばかりの五月下旬。春田紬は、自分の部屋の前でうずくまる不良・椿井紅に声をかけ、事情も深く聞かずに拾ってしまう。奇しくも、その名字には、トラウマがあったが、他人の空似だと思い、紬は気にしないことにした。椿井紅は現在高校二年生。学校にも行かず、家出をしているらしい。しかし、見た目の中性的な雰囲気とは逆に、紅は人懐っこく、紬とはすぐに仲良くなった。日々、ゲームをしたり、一緒にご飯食べたりしていくうちに、二人でいる時間が、特別なものに変わっていく。
紬は、中学時代に事故で父を亡くし、そのことで不良のことは、心底邪険にしていたが、紅と過ごしていくうちに「不良」という側面からではなく、紅の内面的な人格に惹かれていく。
だが、仲良くなればなるほど、彼の行動に不信感を抱くようになった紬。ある時、紬は意を決して、紅にその不審な行動を問い詰める。紅は観念し、紬のトラウマを紐解いていくが、紬は紅を拒絶し始める。しかし紅は、今まで紬に優しくしてもらったことに執着し、紬の痕跡をストーカーのように追いかけていくのだった。
――優しくすることにも疲れた。だけど、忘れたくない。
――優しくされたことも、楽しかったはずの思い出も。
世界は、案外優しいのかもしれない。
紬は、中学時代に事故で父を亡くし、そのことで不良のことは、心底邪険にしていたが、紅と過ごしていくうちに「不良」という側面からではなく、紅の内面的な人格に惹かれていく。
だが、仲良くなればなるほど、彼の行動に不信感を抱くようになった紬。ある時、紬は意を決して、紅にその不審な行動を問い詰める。紅は観念し、紬のトラウマを紐解いていくが、紬は紅を拒絶し始める。しかし紅は、今まで紬に優しくしてもらったことに執着し、紬の痕跡をストーカーのように追いかけていくのだった。
――優しくすることにも疲れた。だけど、忘れたくない。
――優しくされたことも、楽しかったはずの思い出も。
世界は、案外優しいのかもしれない。
コンテストの下読みの段階での評価も高く、選考においてもその個性的な作風と完成度が異彩を放っていました。 作品の冒頭の導入はタイトルの通り、主人公が不良と目される少年を家に招き入れるところからはじまる、読みやすい滑り出しです。 しかし読み進めていくうちに、ふたりとその家族の因縁が明らかになっていき、 ともすればミステリーなのかサスペンスか…!? という展開にひきこまれました。 今作品の少年たちの関係性をもっと読みたい、コミカライズでぜひ世に出したいという思いから、満場一致で大賞といたしました。 コミカライズが決定しておりますので、連載を楽しみにして頂けましたら幸いです。
優秀賞
賞品：賞金3万円＋ジーンピクシブにてコミカライズ検討
製菓会社に勤めるごく普通のサラリーマン鳴上洋太は、祖母の遺言に従い、隣町の古びた街並みを歩き回っていた。絶縁状態の実家から託された彼女の遺言は、『私の秘密の弟に、駄菓子のあたりくじを返してやってほしい』という意味不明なもの。不審に思いながらも同封されていた地図を片手にさ迷った洋太は、ようやく目的の駄菓子屋らしき店にたどり着く。
そこに居たのは、プラスチックのお面をかぶった怪しい男、『無駄菓子屋』だった。顔は見えないが、どう見ても高校生にしか見えない無駄菓子屋店員相手に、洋太は仕方なく要件を告げる。
祖母・千寿子が死んだ。遺言に従い、駄菓子のあたりくじを返しに来た。そう言った瞬間、お面の青年は急に態度を変えて『今すぐ帰れ』と飴を投げつけて来た。訳もわからず憤慨しつつ帰路につく洋太だが、後日彼の投げつけた飴を食べた後に、涙が止まらなくなってしまう。
再度、無駄菓子屋を訪れた洋太は、幼少の頃お面の男に手を引かれ、夏祭りに行ったことを思い出していた。人とは違うモノだけれど、人よりも情に流される不思議な青年に、洋太は彼が『初恋の人』だったことを思い出す。
そこに居たのは、プラスチックのお面をかぶった怪しい男、『無駄菓子屋』だった。顔は見えないが、どう見ても高校生にしか見えない無駄菓子屋店員相手に、洋太は仕方なく要件を告げる。
祖母・千寿子が死んだ。遺言に従い、駄菓子のあたりくじを返しに来た。そう言った瞬間、お面の青年は急に態度を変えて『今すぐ帰れ』と飴を投げつけて来た。訳もわからず憤慨しつつ帰路につく洋太だが、後日彼の投げつけた飴を食べた後に、涙が止まらなくなってしまう。
再度、無駄菓子屋を訪れた洋太は、幼少の頃お面の男に手を引かれ、夏祭りに行ったことを思い出していた。人とは違うモノだけれど、人よりも情に流される不思議な青年に、洋太は彼が『初恋の人』だったことを思い出す。
佳作
賞品：賞金1万円
「ハロウィンをしよう」
日々募る鬱屈とした気分を解放すべく、29歳、サラリーマン7年目の橘庄司（たちばなしょうじ）は有給申請をした。
時は10月下旬。手にした休みは7日間。
扮するは、高校時代の自分自身。
庄司はハロウィンというお祭り騒ぎに乗じて思い切り遊ぶ為、高校時代の制服に身を包み軽やかに歩き出した。
「少しだけ、入れ替わらないか」
時を同じくして、トレードマークだった赤い髪の毛を、真っ黒に染め直した18歳の若者が居た。
山戸宮古（やまとみやこ）。彼は全国の不良達が集まる私立蔦谷学園でトップに立つ男だった。日々変わらぬ毎日に辟易としていたある日、宮古は双子の弟に頼んだ。「少しだけ、入れ替わらないか」と。
こうして弟の姿を借りた宮古も、いつもと違った毎日へと足を踏み入れた。
互いが互いの本来の姿を知らぬまま、二人はあるきっかけで出会う。それが、庄司と宮古、互いにしがらみを取り払い笑い合う1週間の始まりだった。
変装したら、本当の自分に出会えた気がした。
ハロウィン当日、10月31日までの彼らの1週間の日々を追う。
日々募る鬱屈とした気分を解放すべく、29歳、サラリーマン7年目の橘庄司（たちばなしょうじ）は有給申請をした。
時は10月下旬。手にした休みは7日間。
扮するは、高校時代の自分自身。
庄司はハロウィンというお祭り騒ぎに乗じて思い切り遊ぶ為、高校時代の制服に身を包み軽やかに歩き出した。
「少しだけ、入れ替わらないか」
時を同じくして、トレードマークだった赤い髪の毛を、真っ黒に染め直した18歳の若者が居た。
山戸宮古（やまとみやこ）。彼は全国の不良達が集まる私立蔦谷学園でトップに立つ男だった。日々変わらぬ毎日に辟易としていたある日、宮古は双子の弟に頼んだ。「少しだけ、入れ替わらないか」と。
こうして弟の姿を借りた宮古も、いつもと違った毎日へと足を踏み入れた。
互いが互いの本来の姿を知らぬまま、二人はあるきっかけで出会う。それが、庄司と宮古、互いにしがらみを取り払い笑い合う1週間の始まりだった。
変装したら、本当の自分に出会えた気がした。
ハロウィン当日、10月31日までの彼らの1週間の日々を追う。
帰宅部で特にこれといった特徴があるわけじゃない三原朔。彼は片思い中の那賀美月に告白することを決め、それを親友である善通寺義久に宣言する。
しかし、次の日に学校に行くと、善通寺と那賀が付き合ったことを知る。確かに善通寺は「イケメン2トップの１人」として、学校では有名なほどモテる男だった。
でも、性格が悪く、いつも三原のことをいじってくるような男で、遂に好きな人まで奪ってきたから、三原は善通寺と絶交することを決めた。
それと同時期に、善通寺と共に「イケメン2トップの1人」として有名な西条みやとなぜか親しくなる。
失恋の真っ最中に自分を巡る環境が少し変わり、何やら変なことに巻き込まれていく三原。
一方で、西条は1年以上三原に片思い中。でも、引っ込み思案な彼は三原にアプローチすることができず、悩んだ挙句に、幼馴染である善通寺と那賀に相談することに決める。そうして、善通寺と那賀は西条をサポートすべく、三原の想い人である那賀と善通寺が付き合っていることにし、三原と西条が恋人になるように流れを作り上げた。
でも、異様に三原と西条の関係が進展しないのには、他にも訳があり……。
イケメン2トップの1人×平凡高校生男子のピュアピュアストーリー。
しかし、次の日に学校に行くと、善通寺と那賀が付き合ったことを知る。確かに善通寺は「イケメン2トップの１人」として、学校では有名なほどモテる男だった。
でも、性格が悪く、いつも三原のことをいじってくるような男で、遂に好きな人まで奪ってきたから、三原は善通寺と絶交することを決めた。
それと同時期に、善通寺と共に「イケメン2トップの1人」として有名な西条みやとなぜか親しくなる。
失恋の真っ最中に自分を巡る環境が少し変わり、何やら変なことに巻き込まれていく三原。
一方で、西条は1年以上三原に片思い中。でも、引っ込み思案な彼は三原にアプローチすることができず、悩んだ挙句に、幼馴染である善通寺と那賀に相談することに決める。そうして、善通寺と那賀は西条をサポートすべく、三原の想い人である那賀と善通寺が付き合っていることにし、三原と西条が恋人になるように流れを作り上げた。
でも、異様に三原と西条の関係が進展しないのには、他にも訳があり……。
イケメン2トップの1人×平凡高校生男子のピュアピュアストーリー。
青木英明は高校二年生の始業式に転入生の堤大和の整った顔立ちに心を奪われた。クラス委員長である英明は担任から、言語障害を持ち、周囲とも交流を持たない大和の面倒を見るように言われる。大和は音楽が趣味で、いつも聞いている音楽は英明の兄である青木亮介がRYOという名前で所属している『ホープス』の楽曲だと知り、一層二人は打ち解け始める。そんな中、ホープスのメジャデビューが決まり、喜ぶ大和を微笑ましく見守る英明。
そんな中、兄が大学を卒業したあとはバンドを辞めて会社員になることを知ってしまう。自分を進学させるためにホープスを脱退するのだと悟った英明は居ても立っても居られず、家を飛び出した。たどり着いた先は大和のバイト先である楽器店で、英明に見せたいものがある、と大和はファンであるRYOのギターを完全コピーして驚かせる。そんな兄が自分のせいで脱退することを泣いて詫びると大和は英明を抱きしめてキスをして――
そんな中、兄が大学を卒業したあとはバンドを辞めて会社員になることを知ってしまう。自分を進学させるためにホープスを脱退するのだと悟った英明は居ても立っても居られず、家を飛び出した。たどり着いた先は大和のバイト先である楽器店で、英明に見せたいものがある、と大和はファンであるRYOのギターを完全コピーして驚かせる。そんな兄が自分のせいで脱退することを泣いて詫びると大和は英明を抱きしめてキスをして――
今回も意欲的な作品が多く、また第１回とは異なった作風の応募作もあり、楽しく拝見いたしました。
ただ、ジーンピクシブで既出の「ゆるキュンＢＬ」に似通った作品は、そこからコミカライズを果たした際に
どういった個性を生み出していけるのか、という点を加味しながら選考させていただきました。
ジーンピクシブから多く「ゆるキュンＢＬ作品」を発表させていただいておりますが、
今回は「ゆるＢＬ」が、いわゆる「ＢＬ」とはまた違う作品づくりをもとめられるジャンルになってきたのを感じました。
今後もよりいっそう、作品としてのおもしろみをどう作家さんと生み出していけるかを考えていきたいと思います。