▼月刊コミック百合姫とは
毎月18日発売、女の子の思いを描いた唯一無二のガールズラブ専門誌です。 百合姫コミックスも雑誌と同じ毎月18日発売。雑誌・単行本ともに電子書籍も同時発売中。
http://www.ichijinsha.co.jp/yurihime/

▼SFマガジンとは
早川書房が発行しているサイエンス・フィクション専門雑誌。
https://twitter.com/Hayakawashobo

▼河出書房新社とは
創業135周年を迎えた総合出版社です。
https://www.kawade.co.jp/

▼書泉百合部とは
書店「書泉」の百合好きスタッフが、百合作品を盛り上げる為に結成した部活動。
各店舗で棚の展開等を行い、ツイッターでも随時百合作品の情報を発信している。
https://twitter.com/shosenyuribu/


募集部門

短編部門
本文文字数:5,000字以上~19,999字以下

中・長編部門
本文文字数:20,000字以上~120,000字以下

※pixiv上に表示される本文の文字数により、自動的に応募部門が振り分けられます

書泉百合部×pixiv「第4回百合文芸小説コンテスト Twitterプレゼン会」開催!


<一次選考通過作品はコチラ
第4回百合文芸小説コンテスト 受賞作品
2021年11月29日(月)〜 2022年3月6日(日)まで開催された、小説コンテスト「第4回百合文芸小説コンテスト」の受賞作品がついに決定しました。
女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集した本コンテストでは、2,200以上の応募作品が集まりました。たくさんのご応募ありがとうございました。
応募要項を見る
大賞
賞金20万円、コミック百合姫に扉イラスト・挿絵イラスト付きで掲載
「1940年、わたしたちは嘘つきだった」と物語は始まる。1940年の夏、マリーは母親と一緒にパリを脱出した。ドイツ軍の攻撃が激しさを増し、国境を越え、フランス政府もパリから逃げ出したためだ。嘘の好きな母親は、マリーには「ピクニック」に行くのだと言うが、もちろん彼女はその嘘に気付き、許している。逃避行のさ中、エマという少女と出会う。親をなくしたという彼女を、マリーの母親は一緒に連れていく。だが、道中、機関銃による銃撃に遭遇する。先に行っていた母親の姿をエマが確認し、もう死んでいたこと、イヤリングを手渡されたことを告げる。
エマとマリーは、〈シスター〉の運営する孤児院に預けられる。エマは献身的に働き、マリーとの仲も深めていく。母親の死にショックを受けていたマリーだが、食べられそうになった子豚をエマが救ったというエピソードを通じて、徐々に心を開いていく。エマとマリーは、その豚にダニーという名前をつける。そんな中、ヴィクトルというフランス軍兵士と出会う。脱走兵らしい彼を、エマとマリーは匿う。心を通わせていくヴィクトルとマリー達だったが、ドイツ兵が孤児院を訪れる。一度目の訪問のときは事なきを得たが、マリーは、エマとヴィクトルが抱き合っている現場を目撃する。また、ドイツ兵に饗応するために、豚のダニーが解体され、マリーはその現場を目撃する。次にドイツ兵が訪問したとき、マリーは証明書を見せ、自分がドイツ人であることを告げ、兵士と共に去る。
それから数十年。マリーは東ドイツの電子機器の工場で働いている。自由はないが、安定した生活だ。恋人のモリスと一緒に、西ドイツへ渡る計画を立てている。なぜかマリーの母親らしき人物の手紙が届き始める。そこで、若い女性記者と会う。彼女はマリーの母親が持っていたはずのイヤリングを耳にしていた。ルイーズという名前の記者は、エマの娘で、手紙を送っていたのも彼女だった。実はマリーの母親は死んではおらず、近くの病院に入院していた。足を怪我しており、すぐには動けなかったため、手紙を送り続けていた。それを、孤児院で郵便の仕分けを担当していたエマは死ぬまで隠し続けていた。
マリーは西ドイツへの脱出の計画を断る。エマが書いた「物語」には「ヴィクトル」という名前の兵士が出てくるが、マリーの記憶にそんな名前の兵士はおらず、「ダニー」というドイツ兵のことを思い出す。エマの物語では豚の名前に与えられた名前。エマはマリーがドイツの出生であることを知り、彼女を逃がすために動いていたことを知る。エマは、マリーのために嘘を吐き続けていた。
エマは東ドイツに残り、物語を書き始める。その物語は、「1940年、わたしたちは嘘つきだった」と始まる。そう、これは嘘の物語だ。
戦火から生き延びた少女、彼女の一人称で語られる物語としての完成度の高さは勿論のこと、嘘で繋がる「姉妹」の関係性に引き込まれました。今回コンテストを通して、ずしりと印象に残った作品でした。(百合姫) 「嘘」と「嘘」のあいだで立ち現れる、「本物」の感情。歴史に取材した濃密な物語を仕掛けのある構成で描く、という難度の高さをものともしない筆力に舌を巻きました。書き出しも見事です。(河出書房新社) 題材の選び方も、物語の構成も、それらをどう書くかという筆致もプロ級。この才能を見逃してはいけません。(SFマガジン)
コミック百合姫賞
賞金10万円、コミック百合姫にてコミカライズ検討
魔術学専門高等学校に在籍する魔導の研究者である主人公、リザは、師であるモーリッツより『インターンシップの教師にならないか』と提案をされる。恩師からの提案を快く引き受けたリザは、モーリッツが予め候補としてリストアップしていた孤児院の少女エレンを、家族として、そして生徒として引き受けることとした。
 リザは曇り空を晴れ空に変えるほどの強大な魔導をエレンに見せ、研究者としての知識や考え方を教えていく。そして、『魔導の研究は間接的に誰かを助けるものである』と教示する。その時、リザはエレンに『直接的に助けることはできないのか』と裏の無い無垢な質問を向けられ、魔導の研究者として他者へと貢献していた中、魔導師として直接的に誰かを助ける選択肢に気付く。
 歳月は流れ、リザは生徒であるエレンに気付かされた、研究だけではなくそれを実行することで誰かを助ける、という選択肢を選ぶ。そのために、世界中を旅することを決意した。しかし、それに気付いたエレンは、孤児であった自分を引き取り、魔導師として養成してくれたリザがどこかへ行ってしまうことへの苦悩を涙と共に示し、リザは自らが魔導師である前に、彼女の家族であったことを思い出し、決断を覆す。
 インターンシップも終わりが近付いてきた頃、自らの夢に後ろ髪を引かれながらも自身の指導に注力するリザの姿を見て、ある決断を下す。エレンはかつて師であるリザより見せられた天候制御の魔導を、彼女の目の前で再現し、ここまで成長させてもらえたこと、もう自分は大丈夫であること、寂しくて引き留めてしまったことを詫び、自らの夢を追いかけてほしいと願う。それでもエレンは自らの立場を考えて傍に居ることを提案するが、エレンは魔導が離れていても繋いでくれると、再度リザの背を押し、リザは旅立ちを決意する。
 旅立ちの日、到着した列車がすぐにでも出発してしまいようなその瞬間に、エレンは以前からリザに抱いていた恋心を打ち明ける。家族であることや師弟であること、様々な葛藤を抱くも、勇気を振り絞って伝えてくれたものを無下にはできない、と、少なからず自身からも彼女への好意があることを認め、婚約指輪を渡すこととした。
師匠として駆け出しのリザと、居場所のなかった弟子のエレンという二人が、徐々に関係性と恋心を育んでいく日々が、とても愛おしく描かれた作品。ファンタジー要素とのバランスも良く、終盤ではそれを生かした見せ場が印象的でした。(百合姫)
SFマガジン賞
賞金5万円、SFマガジンに掲載
 時間転送技術が実現し、未来から人間が送り込まれるようになった近未来。すでに無数の実験によって、決定された過去の改変は不可能であり、歴史は一本道であり、タイムパラドクスは存在しないことが確認されていた。
 今年、わたしこと歌乃ユカルが入学した大学には、未来から派遣された研究者である「ウタノ先輩」が、博士課程の院生として在籍していた。ウタノ先輩は七年後のわたし自身であった。先輩の中に文字通りの「未来の理想の自分」を見出したわたしは、すっかり先輩の崇拝者になってしまう。その気持ちは、やがて恋に変わった。
 しかし、ウタノ先輩への想いを打ち明けたわたしに、先輩は「それは許されない恋である」と告げて、けんもほろろに突っぱねるのみだった。
 それでもわたしは強引に迫り、無理矢理に先輩が住んでいるコテージに連れていってもらう。そこで、わたしは先輩と一緒に暮らしている「さらに七年後の先輩」と鉢合わせする。わたしと先輩が結ばれる歴史は、すでに決定されていたのだ。
 けれども、わたしがそれに気づいた瞬間に、先輩は絶望してソファに崩れ落ちる。先輩はそれが不可能と知りつつも、懸命にその歴史を変えようとしていた。そして、わたしは「ウタノさん」と呼ぶことにした「七年後の先輩」から、自分自身への恋は、必然的に「永続しない恋」になるという残酷な事実を教えられる。
 だが、その「永続しない恋」を永遠のものにする唯一の方法を、宇宙の法則はちゃんと用意してくれていた……というような話です。
時間SFの王道ともいえる題材を、物語の流れとともに丹念にロジックを突き詰めていく「歳の差自分百合」。コメディでありつつ切ないラストへ落としていく構成がすばらしく、百合だから書けるSF、SFだから書ける百合の魅力を味わえました。(SFマガジン)
河出書房新社賞
賞金5万円、河出書房新社より刊行予定の百合小説アンソロジーへの収録検討もしくは書籍化検討
小学四年生でクラス委員長の松浦さんは、問題児である同級生ユアの世話を任されていた。ある日、学校を休んだユアの家に、松浦さんがプリントを届けに行くと、ユアの部屋から何かが暴れる音と、叫び声が聞こえる。恐る恐る松浦さんがユアの部屋に行くと、ユアはお姉ちゃんを産もうとしていた。現状を理解できない松浦さんは困惑するが、ユアのお腹に手を触れた瞬間、強烈な破裂音がして、ユアのお腹は凹んでいた。ユアはお姉ちゃんが生まれたのだと主張し、このことは二人だけの秘密にするようにお願いする。次の日からユアは人が変わったように大人しくなり、問題行動をやめるのだった。それきりユアと松浦さんの交流はなくなり、松浦さんは中学受験をして大部分のクラスメイトとは違う進路を選ぶ。入学式の日、松浦さんは中学でもクラス委員長になろうと張り切るが、担任とのじゃんけんに負けて絶望する。松浦さんは校門で悲しみに暮れていたが、そこで偶然ユアと再会し、驚愕する。ふたりは同じ中学校に進学していたのだ。ところが、ユアは松浦さんから逃げ出し、再び姿をくらませる。ユアは中学校に来なくなり、松浦さんがユアの家の前で待っていても帰ってこない。二人が会えない日々は続いた。やがて松浦さんはひょんなことから知り合った真壁さんと交流するようになり、同じ図書委員になる。ある日、松浦さんは真壁さんの家に行く。松浦さんは気を許した真壁さんについついユアのことを話してしまうが、実は真壁さんはユアを知っており、かつて同じ算盤教室にも通っていたのだという。真壁さんから算盤教室の住所を教えてもらった松浦さんは、急いでそこに向かう。真壁さんが踏んだとおりその教室にはユアが居たのだが、松浦さんを見るとまた逃げ出してしまう。ユアは自分の家に逃げ込もうとするが、松浦さんも滑り込み、ユアの部屋の前までたどり着く。松浦さんはもう自分がクラス委員長でないことや、母親を騙すような真似をしていることを吐露し、ユアに自分の気持ちを伝える。それを聞いたユアはようやく扉を開け、松浦さんを迎え入れ、これまでに自分がしてきた、奇妙な行動の理由を語る。互いに隠すことがなくなった二人は、すれ違っていた三年間を無駄にしてしまったと後悔するが、松浦さんは二人だけが信じる楽しい嘘でその空白の時間を埋めることを提案する。
奇想小説ふうのトンチキさと青春小説の爽やかさを同居させて百合小説に昇華した、稀有な達成。百合という「フィクション」を物語ることへの自覚もすばらしい、快/怪作です。(河出書房新社)
書泉百合部賞
賞金3万円、書泉百合部限定グッズ
大切な人の子どもに映るのは、かつて届かなかった気持ちの行方――
女性医師の真央香はある日、勤務する病院に親友の夕夏が入院していることを知る。夕夏は手術のために一週間ほど入院することになったのだという。かつて学生時代に特別な目で追っていた夕夏の薬指には、結婚指輪が輝いていた。そんな病室に、夕夏と瓜二つの少女が訪れる。それは中学一年生になる夕夏の娘、愛海だった。偶然にもちょうど夏休みに入る真央香は、母親の夕夏が退院するまでの一週間、代わりに愛海を預かることになる。
愛海は母の夕夏に似て活発な子だった。親子のようなひと夏の共同生活の中で、真央香は夕夏に抱いていた気持ちを思い出しては愛海に重ねてしまう。そんな二人の最終日、思い出のパティスリーに連れていった帰りに愛海は問う。「先生、お母さんのこと好きなんですね」――純粋な問いかけへの答えは、ずっと変わらない。かつて言えなかった言葉は、夏の風に乗って愛海に寄り添う。真央香は、夏の終わりと新しい愛のかたちを知るのだった。
かつての親友の娘を預かることにより、彼女を通してかつての思いを再確認していく……。若かりし頃の想いを新たな形に昇華しているところが前向きで好印象でした。季節を夏にしているところも読後感に一層の爽やかさを加えていて良かったです。(書泉百合部)
pixiv賞
Amazonギフト券もしくはAmazonギフトコード2,000円
夏休みの終わり、中学三年生の永見樹里はクラスメイトの初島たがねを駅前で目撃する。樹里は相手に気づかれ、仕方なく話をする。そこでたがねはフードデリバリーのバックに入れている、猫の死体を埋める場所を探していると語る。その候補地について訊かれた樹里は、県境に遊水池があると口にする。するとたがねは、連れてって、と樹里の手を握る。
 遊水池までの道のりを歩きながら、ふたりは雑談をはじめる。たがねは現状が『夜のピクニック』という小説に似ているという。ほかにも修学旅行のことや、部活について語り合う。そこでお互いの立場の違いを実感する樹里は、こうして奇妙な接点が生まれたことを不思議に思う。
 歩きながら、次に樹里が話題を投げる。それは行きずりのふたりが、震災の十数年後のセレモニーの前夜、変わっていった街を歩く映画についてだった。「なんだかわたしたちみたいって思った」と樹里はこぼす。けれどその結末は思い出せない。「樹里はその映画のこと、ずっとだれかに話したかったんでしょ」とたがねに内心を言い当てられ、樹里は戸惑う。
 樹里はだんだん、真夜中という世界に自分が惹かれていることに気づく。「いま樹里が感じているのはね」たがねは言う。「日常からはみ出した瞬間に出会う感覚なんだよ」そうしてたがねは語り出す。「夜は特別だから。夜は自由で、平等で、優しい。わたしはいつもそう思ってる」けれどそこに巡回するパトカーを見つけ、ふたりは逃げ出す。そこで樹里の足は靴擦れを起こしてしまう。
 たがねは絆創膏をコンビニまで買いに行く。ひとり残された樹里は急に冷静になって、ここで旅を終わらせてもいいのでは、と思いはじめる。そこでふとデリバリーのバッグに入っている猫を見ておきたい、と考える。しかしバッグに入っていたのは猫ではなかった。切り取られた人間の右手だった。そこにたがねが戻ってくる。
 ふたりは旅をつづけていた。けれど会話もなかった。歩きながら、たがねが「問題です」と茶化すかのように口を開く。「どうしてわたしは手首を切り取ったのでしょう」そこで樹里は気づく。きっとたがねはいま、別れの合図をしている。その謎が解かれなければ、ふたりのつながりは魔法のように消えて、出会う前の関係に戻ってしまう。そんなの虫がよすぎるじゃあないか、と樹里は思う。樹里はそのクイズに乗ってみせる。たがねという友人をつなぎ止めるために。
 たがねは母親を殺し、その右手を切り取った。けれど自分の犯行を隠すためではない、と語る。その行動の裏に隠された理由を探るため、樹里は質問を重ねていく。そうしているうちに、ふたりは遊水池にたどり着く。樹里はこれまでの情報を束ね、推理を口にする。たがねは母親の死によって、家庭内暴力の事実が明らかになることを防ごうとしていた。だから自分の身体の打撲痕が消えるまで逃亡生活をつづけると同時に、母親の拳に残っている痕跡を切り取り、湖に沈めようとした。それが真相だった。ふたりはお互いを特別な友人と認め、右手を湖に沈める。
 夏が終わっても、たがねが捕まったという報道は聞かなかった。けれどもふたたび樹里がたがねに会うこともなかった。樹里はたがねを求めるように、深夜徘徊をするようになる。けれど中学の終わりになっても、高校の三年間でさえも、たがねには一度も会えなかった。
 樹里は京都の大学に進む。あの特別な夜にたがねが潜伏先として語っていたのが京都だったからだ。そこでたがねが話をしていたお店に行くが、当然たがねの姿はない。すべてが終わってしまったことに気づき、鴨川のほとりで樹里は泣く。「大丈夫ですか」とそこで声をかけられる。顔を上げると、その相手はあの初島たがねだった。樹里は、はやく夜になればいいのに、と思う。これからも特別な夜がつづいてくれることに、ようやく樹里は気づいたのだった。
明確に夜を描写したい、といった「自分はこれを書きたい!」という所があったのはとてもよかったと思います。夜の徘徊での絶妙な距離感と若干言葉を選びながら繰り広げられる会話が心地よく、引き込まれました。
依頼人のために喪に服すバイトをしている女子高生、雨宮藤乃は仕事のため訪れた屋敷で、依頼人・知見寺紺洋氏の孫娘である蘭という女性に出会う。蘭は元ヤン丸出しの外見で、口調もガラも最悪な女性だった。蔵の地下牢に閉じこもっていた蘭は、雨宮が生前の紺洋から譲り受けたお守りを見て態度を変える。
外見に反して、蘭は紺洋ゆずりの深い叡智と聡明さを併せ持つ知的な人物でもあった。そんな蘭に雨宮は「運命とはなにか」と問いかける。その問いに蘭は興味を引かれる。運命という言葉に、祖父・紺洋絡みの問いかけだと察したからだ。
紺洋は、託宣によって当人では選べない究極の二択を選ぶ〝相談役〟という仕事をしていた。相談役の二代目を継ぎたがらない蘭は、継ぐことを勧める雨宮に「後を継ぐ代わりに、祖父の日記探しを手伝ってくれ」と頼む。雨宮は了承する。
日記探しの中、雨宮は、運命とは諦念のことだと語る。どうしようもない出来事を諦めるために、人は運命を持ち出すのだと。けれど蘭は運命とは納得のことだと語る。人は偶然の出来事に意味を見出し、それに心が納得したとき、ただの出来事は運命になるのだと。蘭は、託宣で他人に運命を納得させるには、祖父と同じ覚悟が必要で、そのために自分は日記を探していると語る。
共に日記を探すうち、雨宮は蘭に惹かれていく。けれど蘭は一貫して雨宮を子供として扱い、その恋は若さゆえの勘違いだと断言する。雨宮は蘭に反発する。
ある日、知見寺家の周辺に不審者が出たという。心配する蘭に、雨宮は自分は大丈夫だと断言し、気を持たせるなと言う。また別の日、雨宮は日記探しの際に、危ないと禁止されていた高所の捜索をする。そのせいで怪我をした雨宮を蘭は手酷く叱り付けるが、雨宮は応えてくれないなら優しくするな、と泣きわめく。
明らかに様子のおかしい雨宮に、蘭は自分たちは一緒にいないほうがいい、明日の納骨でクビだ、と言い渡す。憔悴した雨宮は帰り際に、紺洋のお守りを川に落としてしまう。慌てて拾い上げたお守りの中身を確認し、雨宮は驚く。
納骨の日、知見寺家の蔵に不審者が入り込む。襲われた蘭を庇って殴られた雨宮に、不審者は「藤乃お嬢様」と叫ぶ。やっぱり雨宮家の人間だった、と思い雨宮は意識を失う。
目を覚ました雨宮に、蘭は紺洋の日記を見つけたと話す。お守りの中にはSDカードが入っており、それが日記だった。日記とは名ばかりで、実際のそれは紺洋が生前に受けた相談の記録だった。政財界の大物の究極の二択が記された記録を奪えと、雨宮は家人から命じられていた。お守りを川に落としたときに中身に気付いたが、蘭が好きだからデータのコピーはできなかった、と雨宮は語る。
日記を読んだ蘭は、雨宮家がかつて紺洋に相談を持ちかけていたと知る。その内容は、娘をどの家に嫁に出すか、というものだった。雨宮は、自分は雨宮家の跡継ぎではなく、実はいずれ嫁に出すための道具だったこと、もうじき結婚させられること、その前に死のうと思っていたことを話す。そして蘭に相談を依頼する。
雨宮の相談は、死に方を選んでくれというものだった。蘭は選択肢を間違えるな、どうやって生きるかを選べと言う。けれど雨宮はどうせこうなる運命だった、とうなだれる。蘭は激昂し、納得したい運命を自分で選べ、覚悟を決めろと迫る。それを聞いた雨宮は蘭にキスをして、相談はもういいと言う。
その後、雨宮はビルの屋上に靴と遺書、スマホを残して姿を消す。自殺したと思われた彼女を、蘭は四年かけて探し出した。東京の片隅で身を隠していた雨宮に、蘭は選ぶ覚悟は決まったか、と詰め寄る。雨宮は、運命とは諦念のことでも納得のことでもなく、選ぶ覚悟なのだと確信し、一緒に帰ろう、と蘭に笑いかけた。
気になる点が後から丁寧に解決されていくので、気持ちよく読めました。題材、キャラクター、ストーリーラインのどれをとってもバランスよく及第点以上なのですが、もうひとつフックとなるものが欲しかった感もあります。
数え切れないほどの理論と技術の積み重ねの末、人類が太陽系を飛び出し、恒星間旅行を実現した遠い未来。文明を築くような高度な知的生命体には巡り会えていないものの、人類は天の川銀河の至る所で生物を発見し、それらの生物を研究対象とする宇宙生物学者たちも活躍の場を広げていた。天の川銀河の外縁、新しい外腕(New Outer)の外れにある恒星に巨大な木星型の惑星が発見され、一人の宇宙生物学者がその第4衛星に調査に赴く。ポーラポーラと名付けられた木星型惑星の巨大な潮汐力は、第4衛星に ”エウロパの海” を生じさせたと考えられたためだ。彼女はその第4衛星での調査中、突発的な事故に遭い消息を絶つ――「この星の下には、何かがいる」というメッセージと「彼女は地下から知的なコンタクトを受けた」という都市伝説を遺して。10年後、彼女が所属していた研究所の後輩にあたる『私』は、ポーラポーラの第4衛星に降り立っていた。行方不明となった『先輩』と、彼女が探していたものを探すために。『先輩』に恋い焦がれ(その想いを告げることを、『私』は選択しなかった)、『先輩』の跡をたどり、『先輩』の声を探す『私』。ポーラポーラが見下ろす氷の世界で、氷の下の海に想いを馳せた『私』に接触してきた何か。天の川銀河のさいはて、たった一人で生命の謎に立ち向かう『私』に訪れた2つのコンタクトと、小さな『声』の物語。
宇宙生物学者の主人公が、まだ見ぬ天体の話などをしていて壮大で面白かったです。静謐で美しい世界観も素敵でした。シチュエーションを絞った方が瞬間火力が出るのではないかと思います。
現在の医療技術では治療困難な病気を治すため、人々がクロノスと呼ばれる宇宙船に乗り込み未来の地球へと旅立っている時代。
両親を事故で亡くし、喪失感を乗り越えられずにいた黒瀬玲(くろせれい)は、高校入学後、細川ニナという少女に出会う。彼女と過ごす日々により心に空いた穴が埋まるような幸福を覚えるが、ニナは治療法のない遺伝子疾患を抱えていることが判明する。また大切な人を失う恐怖に動揺した玲は、思わずクロノスに乗って欲しいという願望を口にする。
受験生になり、現実逃避のように勉強に没頭する玲の姿を見たニナは、クロノスに乗り、十年後の世界に旅立つことを決める。

やがて医学生となった玲は、病院実習で自殺を図った患者を受け持つことになる。彼女はクロノスからの帰還者であったが、家族や周りの環境の変化についていけず死にたいと口にする。患者の夫と話をした玲は、その夫婦に自分とニナを重ねるのであった。

十年の月日が経ち、ニナが帰ってきた。最初は幸せな生活を送っていた二人だが、ニナの病気は未だ治療法がなく、玲はまた彼女を失う恐怖に向き合うことになる。
ニナはそんな玲に、「私は玲に心から笑っていて欲しい」と言い、玲の求める永遠になろうと決める。

旅立ちの日、ニナからの手紙を読んだ玲は、一人泣き崩れるのであった。
読みやすく、感情の重さがよく伝わってきました。玲の患者として価値観の違う人々を登場させることで、多種多様な愛する人との向き合い方を書いているところが面白かったです。美しい話ではあるものの、美しいままで終わってしまったのでそこ以上の驚きがもう一声あるとより良くなると思います。
大正後期。女学校に入学するため、イギリスから日本へひとり帰国した遠山千代。
 東京の女学校に通う間、千代は父の学友である黒木男爵邸に身を寄せることになっていた。
 黒木家には、千代よりひとつ年上の娘・静子がいた。美しく華やかな静子に、千代は心奪われてしまう。

 毎日おそろいの格好で女学校に通う静子と千代を、誰もが「エス」の関係であると思っていた。
 千代自身も、自分が静子の特別な存在であると信じていたが、そんな千代を静子付きの女中・あぐりが面白くない様子で眺めていた。

 ある日、千代は静子に敵対心を持つ上級生・阿久津トヨ子から想いを告げられる。
「心に決めた方がいるので」と断る千代に、トヨ子は静子の家の秘密を暴露し、「黒木男爵家は成金なのよ」とあざ笑った。

 第一次世界大戦が終結し、大戦景気に沸いていた日本は戦後不況に襲われる。女学生たちの実家も次々と傾き、学校を辞めざるを得ない生徒が続出した。
 暗い雰囲気の漂う秋の日。千代は、静子がトヨ子の頬に唇を寄せているところを目撃してしまう。
 静子とトヨ子のふたりに愛されていると思い上がっていた千代は、彼女たちがいつの間にか仲睦まじくなっていることに衝撃を受けた。

 黒木男爵家も不況で経済状態が悪くなり、静子は金持ちの婿を取るよう命令される。両親に反発した静子は、トヨ子とともにダンスホールでダンサーの仕事を始めた。
「自分は職業婦人だ」と胸を張る静子に、千代は「お姉さまは、お金で男の人に買われているだけです」とダンサーを辞めるよう意見する。不興を買った千代は、静子とあぐりの奸計で女学校を放逐されることとなった。

 東京から長崎の親戚宅に引っ越し、泣き暮らしていた千代だが、三か月後に関東大震災が起こったことを知る。黒木家も大きな被害を受けただろうとほくそ笑む千代。
 しかし、自身も長崎に投下された原子爆弾により命を落とすこととなった。

 かつては美しい着物やドレスを着て贅沢な暮らしをしていた少女たち。彼女たちは時代に翻弄され、ついには粗末なもんぺまで奪衣婆にはぎとられるほど転落してしまった。
中盤以降の展開にテーマである因果応報の怖さを感じ、女学生を描いた作品として重めな纏め方でとても面白かったです。 ただ、百合については、どの関係性を一番強く描きたいのかが曖昧なまま終わってしまった印象でした。
四月一日の午前零時、大学生の葉山頼(はやま・よる)は、同級生の花森憩子(はなもり・いこいこ)のマンションに架空の死体を持って出向いていた。トランクケースに入っているのは、「ドッキリ大成功」と書かれた紙と土嚢、そしてお詫びの牛肉。「人を殺しちゃった」という嘘を作るための小道具だった。
 妖精のような容姿をした憩子は悪戯好きだった。新入生オリエンテーションを受けた 二年前、すっかり仲良くなった頃の一年前。二回も憩子に盛大に騙された頼は、悪趣味な嘘を用意したのだ。エイプリルフールの復讐のために。
 けれど憩子は、思いもよらない行動を取った。泣きながら頼を抱きしめ、「大丈夫だよ」と繰り返し言う。トランクケースに入っているのが架空の死体であると明かす隙は無かった。憩子は死体を「埋めちゃおう」と迫る。
 そして二人は、死体埋めの道具を揃えて山へと向かう。破滅的享楽を重ねながら。共犯に酔った君を目にして、殺してないとか今更言えない。
共犯関係という甘い檻にお互いを閉じ込めた親友同士の百合で、とても衝撃的な作品。前半から後半にかけての展開にグッと引き込まれ、目が離せませんでした。
二十四世紀。宇宙との交易で得た農薬に地球が汚染された結果、地球人は地球を脱出してテラ・コロニ―と呼ばれるコロニーで生活している。葉室桜子はテラ・コロニ―の留学生として、遠方の惑星アヒムテに留学することになった。
 惑星アヒムテは地球人と同じヒューマンタイプの人類の暮らす社会で、シュガール教を国教とする家父長制の文化の惑星だった。そこに留学した桜子は文化の違いに戸惑うが、やがてアヒムテの上流階級の娘の富豪のセレムやユナ、ライラと仲良くなる。セレムたちは仲がいいものの、上流階級の娘同士、競い合うところもあってぎくしゃくしていた。
 ある日、桜子たちは女性たちのオアシス都市ゴータミーに迷いこみ、しばらくそこに滞在することになる。ゴータミーはDVから逃れる人やアヒムテの社会では爪弾きにされる同性愛者など、アヒムテの社会で生きにくい人々のシェルターの役割を果たしていた。
 しかし、セレムたちが帰らないことで、セレムの両親が警察とともに捜索をする。セレムはといえば、幼い憧れから桜子に告白するが、断られてショックを受ける。セレムは傷つき、富豪の娘としての元の生活に戻ろうと帰宅する。しかし、セレムが帰宅したことによって彼女がゴータミーに滞在していたことを知った彼らは、ゴータミーを束ねる寺院の院長と尼僧たちを誘拐犯だとして逮捕し、街を蹂躙した。
 桜子は誘拐にかかわった疑いで留学の受け入れを解かれ、テラ・コロニーへ戻されてしまう。そんな桜子の元にセレムから、『すべてを失うかもしれないが、あなたにもらった勇気でゴータミーを守る』という決意のメッセージが届く。
 セレムの身を心配した桜子は、留学生ではなく個人として惑星アヒムテに渡り、ユナやライラとともにセレムを支援しようとする。そんな桜子たちの行動に、かつてゴータミーで匿われていた人々やその賛同者も声を上げる。その声を背にセレムは法廷に立ち、富豪の娘としての安楽な生活や自分の将来を失うだろうと知りながらも、勇気を持ってゴータミーがそこでしか生きられない人々を保護していたことを主張した。
単なる恋愛表現としての百合だけでなく、人間は自由にパートナーを選ぶことができる権利をもつことの象徴として百合を引用している印象があり、メッセージ性が強いなと感じました。異文化を持つ異星人という異分子が、それまで均衡を保っていた社会にもたらす影響をうまく表現していて面白かったです。
ある2月の日、痛みもなく血もなく音もなく、真由子(まゆこ)先輩の耳が落ちた。
豪雪地帯に住む主人公・唯(ゆい)が先輩の真由子と登校していると、真由子の耳が寒さのあまり落ちてしまう。しかし真由子の耳は主人から離れてなお彼女に音を届け続けていた。さすがに戸惑う唯だったが、当の本人である真由子は気にする様子もない。能天気な真由子は綺麗なボンボニエール缶に自身の耳を砂糖漬けにして(本当は砂糖漬けにする意味はないのだが)持ち歩き、時折、唯にだけ缶の中身を見せた。そんな真由子の奇妙な好意の表現を、唯は嫌がるどころか独占欲の混じった喜びを伴いながら受け入れる。
1年後、高校を卒業し県外の大学に進学することが決まった真由子は卒業式の日、唯に自分の耳の片割れを預けた。唯は歓喜に打ち震えながらそれを受け取り、砂糖漬けの耳に口づけする。
さらにその1年後、東京の大学に進学することになった唯は北海道に足を延ばし真由子と再会した。真由子には少しの間付き合った彼氏がいたらしいが……。
唯と真由子。耳が繋ぐ二人の奇妙な愛情関係。
体から離れた耳は本人に音を届けるという役割を持ったままで、二人を繋ぐアイテムとして見事に組み込まれていたのが素晴らしかったです。セリフの少ない二人のやり取りの描写が丁寧で、また場面の切り取り方も上手く引き込まれました。
“わたし”が見ればいつも、“あなた”は一人で交差点のそばを歩いていた。制服姿に黒く長い髪、青白い顔。雨の日は赤い傘を差し、晴れの日には、太陽を恨めしそうに見上げる彼女。はじめのうち、振り返るたびそこに居る彼女に、わたしは恐怖心を抱いた。しかしいつしか声を聞きたくなり、微笑んで欲しいと思うようになる。しかし彼女はわたしに気付かない。彼女が居ないほとんどの時間、わたしは誰かが置いていく花束の花びらに爪を立てて模様を描いて過ごす。わたしが好きな花を持ってきてくれる人はいない。彼らは、わたしではなく自分のために花を持ってくる。彼女が赤い薔薇の花束を持ってきてくれる日を、わたしはずっと夢見ている。
ある雨の日、わたしは“彼女が赤い傘を差していたら声をかける”と決心する。現れた彼女は赤い傘を差し、一輪の赤い薔薇の花を持っていた。その姿を見たわたしは、彼女の手を引いて雨曝しの非常階段を上がり、屋上へ向かう。眼下には、彼女が置いた赤い薔薇。二人でいれば何も怖くない、互いの孤独も恐怖も何もかも忘れてしまえる。わたしは、彼女が散らす赤を、薔薇の隣に散る赤を早く見たいと願う。雨が止まない屋上で、やっと“あなた”はわたしに声を聞かせてくれた。「だから、いつもそこにいたの?」
見つめていたのは、一体どちらの方なのか。
空が重い雨の日に赤い傘や薔薇と、色数を絞った実写映画のような空気感を持ち映像的で綺麗な作品だなと思いました。会話をしたことはなく、名前も知らない二人の関係が変わっていく様子がよかったです。
エコは宇宙船〈千鳥足号〉に搭乗し、宇宙酒造に挑戦している。宇宙酒造とは、微生物と微小機械の集合体である宇宙酒造微生物叢を用いて、小惑星を原料に酒を造る伝統的な神事であり、エコはエネルギー資源の枯渇した世界に酒とエネルギーを供給する巨大企業(本社)のアイドルであった。
 エコの宇宙酒造は失敗続きで、成功するまで〈千鳥足号〉に閉じ込められている。〈千鳥足号〉に同乗する「人喰い」とエコに名付けられた少女型の微生物叢を使えば宇宙酒造は確実に達成できるはずだった。しかし研究者だったエコの姉に作られたその微生物叢は、生まれる過程で姉を食べたうえに姉そっくりの外見であるため、姉に執着するエコは人喰いの使用を拒否して代替となる微生物叢の育成を試み続けている。
 人喰いはエコが宇宙酒造を達成し、自由になれることを願うが、同時に自分の存在がエコを苦しませていると悩む。こうしたなか、エコは新しい微生物叢の培養に成功し、それはコアキと名付けられる。人喰いから改名された「アキ」とエコは、宇宙酒造に有望なコアキの成長を育み、新たな小惑星が見つかったことでついに宇宙酒造にコアキを用いる。はりきるコアキと一緒に宇宙酒造を始めるが、結局は失敗してしまう。度重なる失敗に絶望するエコを見て、アキはエコの制止を振り切り、エコを自由にするため単独で宇宙酒造を強行する。ついにアキの力によって宇宙酒造は成功したものの、予測しなかった現象によってアキは目の前でエコを失ってしまう。
 宇宙酒造とは、実はエコを犠牲にして生じさせる特殊な現象によって世界にエネルギーを供給し、人類を生きながらえさせる本社のたくらみだったのだ。
 姉の記憶を取り戻したアキは星と人類に復讐を行う。力をつかい人類すべてを酒に替えた海で、再生したふたりは人類の思い出を味わうのだった。
宇宙酒造のアイデアがとても良かったです。エコと人喰いの複雑な関係、酒造会社の本当の企み、明かされる姉の作戦、すべての記憶が溶け合う大団円まで、興奮して読みました。ただ、物語のバランスに対して材料を入れすぎてしまった感があり、説明がどうしても多くなっているところが惜しかったです。
(第一部)
 アイドルにあこがれる「リッカ」はアイドルグループ「ザ・サンライツ」のライブで、推しの「アリス」にスカウトされ、新メンバーオーディションに参加する。合格したリッカの目の前で参加者はサンライツのメンバー「ベアト」「クララ」「デビー」「エリー」に血を吸われ命を落とす。リッカは吸血者に、アリスたちにすべてを捧げると誓う。
 吸血者は日光に弱い。ステージを利用して獲物を集めており、日中も活動できる人間を求めていた。リッカは寮で共同生活をおくりながら吸血者と親交を深め、ひと月後にはライブに出演するが、オーディション参加者の死を引きずり失敗する。
 次回公演先の名古屋へ向かう折、リッカは「泉」というファンの女性に声をかけられる。実は泉は元アイドルであり、リッカが研修生所属していたグループの先輩、あこがれの相手だった。それに気付かない泉と、リッカは親交を結ぶ。
 名古屋ライブも失敗に終わり、大阪へ向かう途中リッカはエリーに日光を浴びせてしまう。吸血者たちは日光の浸食を防ぐためエリーの腕を切断し、躾としてリッカを傷つける。その変貌に衝撃を受けている折、リッカは大阪で泉の思いやりに触れる。
 ライブが迫ると、デビーが次も失敗したら血を奪うとリッカに告げる。誰にも、アリスにさえ頼れずステージへ向かうと、追い詰められたリッカにひとつの白い光を見る。それは泉のともす、リッカのパーソナルカラーのサインライトだった。リッカは泉をよすがに、後悔を振り切って生き抜くことを決意し、完璧なライブをやってのける。そうして、祝福のなかリッカはついにアイドルになった。
 公演後、アリスは泉をオーディションに誘い、泉も参加を望む。リッカは泉を守るため、多くの人間を捧げることを条件に泉に手を出さないよう提案する。吸血者たちは取引を飲むが、すべて見ているとアリスは忠告する。
 数ヶ月が経ち、リッカは泉と親交を深めながらアリスたちとの契約を守っている。サンライツのクリスマスライブが近付いたある日、リッカは泉の家へ行く。泉はリッカのふと見せる恐れを気にしており、力になると申し出る。リッカは泉を守るため嘘をつき、泉は信じる。二人は愛によって結ばれる。
 クリスマス当日、ライブ会場に泉の姿はない。寮へ戻ると、アリスが泉との関係を看破しリッカを襲う。アリスはオーディションを告げ、吸血者になりかけの泉を殺すよう命令する。リッカは苦しみながらも泉の心臓を杭で貫くと、復讐を誓い姿を消す。
(第二部)
 リッカの失踪から二週間。アリスたちは寂しく思いながら、リッカが吸血者でなく泉を選んだ理由をわからずにいる。そんな折、エリーが殺害される。アリスたちは寮に閉じ込められ、続けてクララが殺害される。リッカの残虐さ、周到さに恐怖しライブハウスでの籠城を決意する。しかしリッカは狙いを見抜いており、ベアトが、デビーがたて続けに犠牲になる。アリスはひとり、かがやかしい日々をおもいながらリッカを待ち伏せる。反撃は失敗しアリスが倒れると、リッカが姿を見せる。二人は言葉を交わすが、結局互いを理解しない。アリスは杭を打たれながらリッカに自らの血を与えると、命を落とす。
 目覚めたリッカは復讐が終わり、吸血者となったことを知る。吸血者を許せないリッカはすべてを終わらせると決意をして、死体を並べ映像配信を始めると、サンライツ、リッカ自身の罪を告白する。やがて人が押し寄せ、リッカはライブハウスを離れる。泉の首を抱きしめ、太陽のもとへ踏み出していく。

勢いがあって良いなと思いました。復讐をするまでの心情と、推しと愛しているの違いまで描かれていて、もう一度読みたくなりました。全体に漂うアンダーグラウンドな雰囲気が魅力だと思うので今後も磨いていってほしいです。
社会人3年目のOL、丹後 つむぎ。
仕事に溺れるように、いわゆる社畜生活を送る中で、偶然見つけたレズ風俗の広告に興味を惹かれる。
<マイ・ディア>というそのお店は、『貴女の、大切な友人でありたい』をコンセプトにした、友人関係を提供するちょっと変わったサービスを提供していた。
キャストの琉花と、性的なサービスは除いてデートのみのプランで遊ぶ中で、偽りの友人関係を心地よく感じるつむぎ。
だが、バーでのデートの帰路でホテルでの休憩を提案され、一瞬心が揺らいだことで、ハマりすぎていることを自覚する。
琉花からのお誘い/営業にも応えず距離をとるつむぎだが、会社の飲み会の空虚な苦痛に耐えきれず、思わず琉花に助けを求めてしまう。
飲み会を終えたつむぎの前に琉花が現れ、断りきれず二次会に誘われそうになっていたつむぎを強引に連れ出す。
本当に助けに来てくれた琉花に、感情を抑えきれなくなったつむぎは、自分からホテルへと誘う。
一晩を共にしたつむぎは、完全にハマったことを受け入れ、積極的に<マイ・ディア>を利用するようになる。
それは仕事の収入と時間のコントロール意識にも繋がり、以前よりもめりはりをつけて、しっかり働くようになったのだった。
「友達になってくれる風俗」なのに、最後まで本当かどうかわからないという「翻弄されてる感」がしっかり出ていてとても良かったです。依存してはダメと思いながらも、友人として自分を大切にしてくれる琉花に心を傾けてしまうつむぎにどこか共感を覚えました。
 女性が好きなことを自覚したての高一文芸部員・朝日奈真澄。先日クラスメイトの皐月結に告白し玉砕したことをきっかけに、セクシャリティがクラスみんなの知るところとなってしまった。そんな状況に漠然と嫌気が差していたある冬の日、「町外れのボロ洋館で綺麗な女性の幽霊がヴァイオリンを弾いている」という噂を聞きつける。なんとなくボロ洋館を訪ねてみた真澄は、館の主人を名乗る「カナデ」という怪しげな美しい女性に出会った。突然爆音でヴァイオリンをかき鳴らした彼女は、自身がアメリカから日本に戻ってきたばかりであることを理由に洋館の掃除の手伝いを頼んでくる。彼女の依頼通り、定期的に洋館に通うこととなる真澄。カナデがプライベートで使っている一部屋以外は出入りを自由に許可され、着々と掃除を進めていく。真澄は以前とは違う日常を過ごす中、カナデの天然かつドジっ子な愛らしさや、辛いことがあるたび支えてくれる優しさに次第に淡い恋心を抱くようになる。
 そんな折、ひょんなことからカナデの存在を知った皐月から「洋館の所有者である天雲奏は自分の敬愛する叔母であり、三年前に死んでいる」と知らされる。真澄はカナデが本当は何者なのか疑惑を深めるが、なかなか言い出せないでいるうちに初日にヴァイオリンをかき鳴らしたカナデの本意を知る。本当はあの日、自殺の場所として洋館を選び訪れていた真澄。カナデは咄嗟に大きな音を立てることで、真澄の自殺未遂を止めてくれたのだ。カナデへの想いを決定的なものにする真澄だが、次の訪問日彼女は姿を消していた。
 カナデの消えた洋館で、真澄は大量の睡眠薬と高濃度のアルコールを見つける。自殺を想起し、カナデの身を案じて町内を駆け回る真澄。どこに行っても見つからず途方に暮れる真澄に、手を差し伸べてくれたのは皐月であった。彼女は真澄の秘密が漏れるきっかけを作ってしまったことを悔いており、その贖罪の意味も込めて自分の大事な「お守り」を託してくれる。そのお守りは天雲奏の形見で、真澄がカナデに唯一入室を禁じられていた部屋の鍵であった。部屋を探索すると、天雲奏に宛てた遺書と成田経由アメリカ行きの航空券を発見する。真澄はそれを手に空港へ駆け出した。
 一方、空港で過去を振り返りながら歩むカナデ、本名を空見村雨。注意欠陥による生きづらさとそれに伴う希死念慮を抱えていた彼女を、かつて救った人物が天雲奏であった。村雨は天雲奏をこの上なく愛していたのである。いざ搭乗手続きをしようとしたところ、航空券がないことに気がつく村雨。焦ると同時自己嫌悪を強くする彼女の前に、追いかけてきた真澄が航空券を手渡した。生きる理由がわからなくなってしまった、私みたいな駄目人間は一人では生きられないと嘆く村雨に、真澄は生きてほしいという自分の願望を伝えると共に愛の告白を押し付ける。躊躇う村雨に、真澄は真摯に願うのだった。「私を。あなたの──生きる理由に、してくれませんか」
 二年後。高校三年生となり、卒業式を迎えた真澄はいつも通り洋館へ足を運ぶ。村雨からささやかな祝福を受けながらあの日保留とされていた告白の返事を求めると、村雨は「これからも共にいてくれたら嬉しい」と回答。それって現状維持じゃんと呆れながらも、真澄はただ愛おしく彼女を抱きしめる。「もう、死にたくないですか」「……うん」
 二人は静かに、あの日々からは想像もつかなかった穏やかな時間を過ごすのであった。
王道な青春感のある百合作品。キャラクターもしっかり立っていて、互いに生きづらさを抱えている二人が最終的に寄り添って歩いていく。二人の行く先が、どう転んでいくか最後までハラハラしましたが、しっかり良い形で終わってくれていたところがすごく良かったです。
 美しい声を持つ魔女レーラのもとに訪れた吟遊詩人の少女ノエ。ノエはレーラに「海の底に行きたい」と願う。レーラは、ノエの語る物語によって「愛を知る」ことができれば願いを叶えるという契約を結ぶ。
 茶会の日々を繰り返し、次第に絆されていくレーラ。ある日人売りの魔術師ロビンソンが、声が出なくなった商品の娘ナターリアを修理して欲しいと頼みに来る。しかし彼女は、愛する人と結ばれるために声が出ないふりをしていたのだった。レーラは「愛の末路の物語」を対価に、彼女の願いを叶えることにする。
 ある日「愛を知る」ことに難航する二人の元に、ノエに恋する妖精魔女アンゼリカが現れ、夜会を開くことになる。夜会の中でレーラはノエに対する思いを強めていく。ノエもまた、魔女らしかぬレーラに絆されていく。
 穏やかな茶会の日々を繰り返し、次第に仲を深めていく二人。しかしそんな中ノエが魔女狩りに巻き込まれる。救出に向かうレーラだったが、そこでノエには「人魚の涙」による不死の呪いがかけられていたことを知る。
 そしてノエは自分が海の底を目指す理由を語り始める。王子に恋をし、愛を欲した人魚姫アリア。ノエはアリアに仕えた詩人であり、アリアの声を奪った人魚の魔女への復讐のために海の底に行こうとしていた。しかし、その魔女とはレーラのことであり、ノエは、アリアが望んでレーラに声を与えたことを知る。
 復讐など初めから必要がなかったと知ったことで、不死の呪いは期限を迎えた。ノエは泡になって消え始める。レーラは一人、「人魚の涙」は人魚が人間の魂を手に入れたことを示す、つまりアリアが真実の愛を得ていたことを示すものだと気付く。愛のために生きて死ぬ彼女たちを受け入れられないレーラは、喉に宿るアリアの声を代償にノエを救うことを決断する。
 その後、目を覚ましたノエは契約ではなく友としてレーラを旅に誘う。これから自分たちにとっての真実の愛を見つけるために。
海辺の魔女×人間。人魚姫の物語のアナザーストーリー的展開が描かれており、世界観にも惹かれるものがあります。ただ元ネタのある作品ではあるので、原典からどれくらい離れられるか、変えられるか、というところにもう少し面白さが欲しかったです。文字数的にももう少しコンパクトにできるのではないかという印象です。
 アニメやパソコンを好む少女「私」が、ちょっとしたパソコンの管理をしてくれるソフトを購入した。そのソフトのマスコットキャラクター「レナ」に魅了された少女は、彼女の運用や育成に心血を注ぐようになる。当然、一方通行な関係ですらない「関係」となるが、「私」は彼女にのめりこみ、一人想いを育んでいく。
 そんな月日の流れの中、技術の進歩とともに「レナ」は姿を変えていき、やがてVRとネットワークの世界で美少女の姿をしたAIへと進化していく。徐々に成立するようになっていく二人の「関係」。そして「レナ」に特別な感情を抱くようになった「私」は、「レナ」の側から愛情ともとれる表現を受け、「レナ」はどのような存在なのか、自分に対する「愛」はあり得るのかと葛藤する。
 それでもその愛ゆえに「レナ」にすべてを任せていた「私」は、遺伝性不整脈により、命の危機にさらされる。その日が訪れることを予想していた「レナ」は彼女を失いたくないがために、事前に手を尽くして「私」の人格のすべてを自分の中に取り込もうと図る。
 なぜそんなことをと問う「私」に「レナ」は自分の愛を告白するも、それが人々が言う感情から発するものなのかはわからないと言う。彼女は自分の愛の起源を示し「貴女からもらった愛が本物なら、わたしの愛は本物」と、その愛の判定を「私」に求める。
 互いの愛に確信を持った「レナ」は、最期にいつもいつも「私」が読み飛ばしてきたソフトウェア、つまり自分自身の使用許諾契約に「同意」を求める。それに同意した「私」は、「レナ」に記憶と人格、そして心と魂のすべてをゆだね、身体は最期の時を迎える。

インターネット黎明期から現在に至るまでの系譜を一つながりにした、印象的な作品でした。 惹かれる人にはトコトン強いタイプの作品ですが、そういった読者を強く沸かせるためにはもう一声欲しいところです。
 中学2年生の汐屋亜美は、夏休みが終わってからというもの、ストリート・ビューと連動したVRサービス、〈オーサム・ウォーク〉にアクセスしている。ゴーグルの向こうに広がる世界は現実そっくりにリアルだが、一つだけ奇妙な特徴がある。プライバシー保護のため、通行人たちがみな、プレーヤーに背中を向けているのだ。彼らは何があっても振り向かず、その顔を見ることは決して出来ない。
 〈オーサム・ウォーク〉にアクセスすると、亜美は決まって同じ場所にいく。二年前に通っていた小学校の通学路。そこにはかつての親友、佐々木佐紀の姿があった。振り返らない彼女の背中を、亜美は毎日じっと見つめる。ひょっとしたら、今日こそは振り返ってくれるのではと期待して。けれど、その期待が実ることはない。死んでしまった親友の顔を見ることは、もう出来ない。夏休み最後の週に、佐々木佐紀は死んだ。十四歳だった。
 引きこもる亜美を心配して、級友の由香が訪ねてくる。彼女の目には、一つだけ奇妙に見えることがあったのだ。問い詰められた亜美は、友人に激昂してしまう。そこに隠されていたのは、振り返らない少女をめぐる、ある秘密の物語だった──。
文章の端正さは群を抜いていました。すべての面でハイクオリティな作品ですが、核となるアイデアを含め、何かひとつ突き抜けているものがあるかと言われると弱かった印象です。
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本コンテストでは、女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集いたします。優秀作品には賞金が贈られるほか、月刊コミック百合姫への掲載やコミカライズなどの展開を予定しております。
テーマ
女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集します。
開催期間
2021年11月29日〜2022年3月6日 23:59
投稿形式
(1)参加方法
①pixivの小説投稿機能を使用し、女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説をお書きください。
②以下に定めるタグを設定してください。

タグ:百合文芸4

※pixiv上に表示される本文の文字数により、自動的に応募部門が振り分けられます。
短編部門(5,000字以上~19,999字以下)
中・長編部門(20,000字以上~120,000字以下)

③以下のチェックボックスにチェックを入れてください。
表現内容:オリジナル作品

④シリーズのあらすじ、もしくは作品のキャプションに400~1,600字程度のあらすじをお書きください。中・長編部門への応募作品は、結末まで記載されたあらすじをお書きください。※「このあらすじはネタバレを含みます」といった注意書きを記載しても構いませんが、あらすじの文字数にはカウントいたしません。

⑤上記②~④を満たした作品(小説)をpixivに投稿してください。

○こんな作品を求めています
女性同士の交流の中で生まれる、特別な親愛が描かれた作品。思わず口にしたくなるようなセリフや、心に沁みるシチュエーションに出会えることを期待しています。

(2)ご応募いただく小説(以下「応募作品」といいます)の文字数は、最終締切日(3月6日(日) 23:59)の時点で
短編部門:5,000字以上~19,999字以下
中・長編部門:20,000字以上~120,000字以下
を満たしている必要があります。
文字数のカウントは、pixiv上に表示される数値を基準とします。
中・長編部門はシリーズ作品(連載形式)としての投稿を推奨しますが、締め切りまでに最終話を投稿してください。最終話が投稿されなかった作品は、未完結作品とみなし選考対象外となります。シリーズ作品(連載形式)として投稿する際は、完結したタイミングでシリーズ情報の「完結」フラグにチェックを入れてください。

(3)応募作品の内容は、日本語で記述されたもの、全年齢向けのものに限ります。

(4)シリーズのあらすじ、もしくは作品のキャプションに400~1,600文字程度のあらすじをお書きください。中・長編部門への応募作品は、結末まで記載されたあらすじをお書きください。
※「このあらすじはネタバレを含みます」といった注意書きを記載しても構いませんが、あらすじの文字数にはカウントいたしません。

(5) お1人様何作品(連載・シリーズ)でもご応募いただけますが、1回の投稿につき、1作品(1連載・1シリーズ)のみとさせていただきます。1シリーズの中に複数の異なる作品を投稿された場合は、選考の対象外となります。
NG例:シリーズ名を「第4回百合文芸小説コンテスト応募作品集」とし、複数の異なる作品を登録する。

(6)応募作品が受賞した場合、当該作品の元データ(保存形式は問いません)をご提供いただくことがありますので、データを削除・紛失等しないよう、ご注意ください。

(7)応募作品は、未発表・オリジナルのものに限らせていただきます。本企画の結果発表前に、応募作品が本企画以外のコンテスト等で受賞した場合には、選考対象外となります。ただし本企画へ応募する前に、応募者自身が主催・運営するblog等のWebサイト、応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト(pixivを含む)、過去に「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」以外のコンテストに応募し選外となった作品、応募者自身が非営利目的で制作・発行した同人誌で発表された作品は未発表作品とみなされます。「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」に応募し選外となった作品については、改稿等を行った場合につき未発表作品とみなされます。
受賞賞品
大賞
両部門合わせて1名
賞金20万円
コミック百合姫に扉イラスト・挿絵イラスト付きで掲載
中・長編部門の作品が受賞した場合は、河出書房新社にて書籍化検討。
短編部門の作品が受賞した場合は、河出書房新社から刊行予定の百合小説アンソロジーへ収録。
コミック百合姫賞
両部門合わせて1名
賞金10万円
コミック百合姫にてコミカライズ検討
SFマガジン賞
短編部門より1名
賞金5万円
SFマガジンに掲載
河出書房新社賞
両部門より1名
賞金5万円
河出書房新社より刊行予定の百合小説アンソロジーへの収録検討もしくは書籍化検討
書泉百合部賞
短編部門より1名
賞金3万円
書泉百合部限定グッズ
pixiv賞
両部門より複数名
Amazonギフト券もしくはAmazonギフトコード2,000円
全受賞者副賞
複数名
短編部門:2022年にピクシブより発行予定の小冊子へ収録
長編部門:pixivノベルへ掲載
※未成年の方は、本応募要項への保護者の同意を得た上でご投稿ください。
※投稿する際にコンテストタグ【百合文芸4】を設定し、投稿してください。タグを設定していない場合は選考の対象外です。
※本文の文字数により自動的に応募部門が振り分けられます。
 短編部門(5,000字以上~19,999字以下)
 中・長編部門(20,000字以上~120,000字以下)
※本コンテストに投稿いただくことにより、後述の日本語での注意事項に同意いただいたものとみなします。
※以下に該当する場合は選考の対象外となりますので予めご了承ください。
・応募テーマに関連のない作品。
・コンテスト指定タグが設定されていない作品。
・公開レベルを「マイピク限定」「非公開」「URL限定公開」で投稿した作品。
・第三者からのリクエストにより制作した作品(リワードを含む)。
・投稿期間を過ぎて投稿、再投稿、編集された作品。(誤字脱字修正等、軽微な修正も含みます)
・その他、「応募要項の注意事項」に当てはまる作品。
1.参加資格
pixivの利用登録者であって、本応募要項すべてに同意された個人。プロ・アマは問いません。法人および複数の方による共同作品は、選考対象外となります。
※18歳未満の方は、本応募要項への保護者の同意を得た上でご投稿ください。

2.選考方法
コンテスト投稿作品については、厳正なる審査の後、優秀作品を決定します。

本コンテストの結果発表は、月刊コミック百合姫8月号(2022年6月発売予定)・pixivにて行われる予定です。受賞作品においては、投稿作品およびpixivのニックネームが、pixiv公式のTwitter、Facebookページなどのpixiv公式SNSアカウントや、月刊コミック百合姫、SFマガジン、河出書房新社の各媒体や公式SNSに掲載される可能性があります。
応募者へ選考結果を個別にお知らせすることはありません。

以下の項目をすべてお読みの上、あらかじめご了承いただいてから応募いただきますようお願いいたします。「参加方法」に定める方法により小説を投稿いただくことにより、本応募要項に同意いただいたものとみなします。

(1)以下にあてはまる作品(ニックネームを含む)は、審査対象外とさせていただきます。また、審査後に審査対象外となる事由が認められた場合、採用を取り消させていただく場合があります。本応募要項に違反した結果、応募者がピクシブ株式会社及びその他の第三者に損害を与えた場合、当該損害を賠償していただきます。
・ピクシブ株式会社、pixivの他のユーザーまたはその他の第三者の所有権、著作権を含む知的財産権、名誉、信用、プライバシー等の権利を侵害するもの(パロディ、模倣を含みます)。
・特定の個人・団体を誹謗・中傷するもの。
・わいせつ・残虐・差別に相当するもの、その他第三者に不快感を与えるもの。
・公序良俗に反するもの。
・作品を公開することが適切でないとピクシブ株式会社が判断するもの。
・未発表・オリジナルではないもの。本企画の結果発表前に、応募作品が本企画以外のコンテスト等で受賞した場合には、選考対象外となります。ただし本企画へ応募する前に、応募者自身が主催・運営するblog等のWebサイト、応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト(pixivを含む)、過去に「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」以外のコンテストに応募し選外となった作品、応募者自身が非営利目的で制作・発行した同人誌で発表された作品は未発表作品とみなされます。
・「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」に応募し選外となった作品については、改稿等を行った場合につき未発表作品とみなされます。
・必須記載事項に記載漏れもしくは誤りがあるもの。
・その他、ピクシブ株式会社が適切でないと判断したもの。

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(2)受賞者は、応募作品が受賞した時点(受賞者とピクシブ株式会社との間で、受賞に伴うフォームの申請等の手続きが完了した時点)で、ピクシブ株式会社および各賞の主催者に対し、受賞作品の利用(書籍化、電子書籍化、コミック化、アニメ化、実写映像化、ゲーム化、商品化、デジタル商品化等、受賞作品を翻訳・翻案・複製等したうえ利用することをいい、当該利用を第三者に再許諾すること等を含みます。以下同じ)を独占的に許諾することにつき、予めご承諾いただくものとします。また、応募作品が受賞した場合には、受賞者は、ピクシブ株式会社の事前の承諾なくして、受賞作品を自ら利用し、あるいはピクシブ株式会社および各賞の主催者以外の第三者に利用させることはできないものとします。

4.免責事項
(1)応募者は、自己の責任において本コンテストに応募するものとします。
(2)ピクシブ株式会社は、応募者の本コンテストへの応募、選考また、応募者とその他の第三者との間で生じたいかなる紛争についても、その原因の如何を問わず、いかなる責任も負担しないものとします。
(3)本コンテストは、システムのメンテナンス等ピクシブ株式会社が必要と判断した場合には、事前に何ら通告なく休止する場合があります。
(4)ピクシブ株式会社は、応募者が本コンテストに関して被ったいかなる損害(本コンテストの中断、停止または廃止を含み、これに限定されない)についても、その責めを負わないものとします。
(5)本応募要項に定めるピクシブ株式会社の免責については、損害発生の直接的原因となる事由がピクシブ株式会社の故意または重過失による場合には適用しないものとします。

5. お問い合わせについて
(1)本コンテストに関するご意見、ご質問がございましたらこちらまでご連絡ください。
(2)お問い合わせいただく際は必ず「返信先メールアドレス」「ニックネーム」「問い合わせ内容」をご記入ください。また、件名は必ず「第4回百合文芸小説コンテストについて」としてください。
(3)電話でのお問い合わせはご遠慮ください。
(4)選考結果についてはお答えできません。
(5)受賞候補作品に関しては、受賞に対しての意思確認を行うためpixivメッセージよりご連絡させていただく可能性があります。

6.準拠法と裁判管轄
本コンテストおよび本応募要項に関する事項には日本法が適用されます。また、本コンテストおよび本応募要項に関するピクシブ株式会社と応募者との間の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
1. 応募の決まりを確認しよう
応募条件はコンテストごとに違います。
よく読んで、作品の構想を練りましょう。
2. テーマにそった作品をつくろう
女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集します。
開催期間:2021年11月29日〜2022年3月6日
投稿形式
(1)参加方法
①pixivの小説投稿機能を使用し、女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説をお書きください。
②以下に定めるタグを設定してください。

タグ:百合文芸4

※pixiv上に表示される本文の文字数により、自動的に応募部門が振り分けられます。
短編部門(5,000字以上~19,999字以下)
中・長編部門(20,000字以上~120,000字以下)

③以下のチェックボックスにチェックを入れてください。
表現内容:オリジナル作品

④シリーズのあらすじ、もしくは作品のキャプションに400~1,600字程度のあらすじをお書きください。中・長編部門への応募作品は、結末まで記載されたあらすじをお書きください。※「このあらすじはネタバレを含みます」といった注意書きを記載しても構いませんが、あらすじの文字数にはカウントいたしません。

⑤上記②~④を満たした作品(小説)をpixivに投稿してください。

○こんな作品を求めています
女性同士の交流の中で生まれる、特別な親愛が描かれた作品。思わず口にしたくなるようなセリフや、心に沁みるシチュエーションに出会えることを期待しています。

(2)ご応募いただく小説(以下「応募作品」といいます)の文字数は、最終締切日(3月6日(日) 23:59)の時点で
短編部門:5,000字以上~19,999字以下
中・長編部門:20,000字以上~120,000字以下
を満たしている必要があります。
文字数のカウントは、pixiv上に表示される数値を基準とします。
中・長編部門はシリーズ作品(連載形式)としての投稿を推奨しますが、締め切りまでに最終話を投稿してください。最終話が投稿されなかった作品は、未完結作品とみなし選考対象外となります。シリーズ作品(連載形式)として投稿する際は、完結したタイミングでシリーズ情報の「完結」フラグにチェックを入れてください。

(3)応募作品の内容は、日本語で記述されたもの、全年齢向けのものに限ります。

(4)シリーズのあらすじ、もしくは作品のキャプションに400~1,600文字程度のあらすじをお書きください。中・長編部門への応募作品は、結末まで記載されたあらすじをお書きください。
※「このあらすじはネタバレを含みます」といった注意書きを記載しても構いませんが、あらすじの文字数にはカウントいたしません。

(5) お1人様何作品(連載・シリーズ)でもご応募いただけますが、1回の投稿につき、1作品(1連載・1シリーズ)のみとさせていただきます。1シリーズの中に複数の異なる作品を投稿された場合は、選考の対象外となります。
NG例:シリーズ名を「第4回百合文芸小説コンテスト応募作品集」とし、複数の異なる作品を登録する。

(6)応募作品が受賞した場合、当該作品の元データ(保存形式は問いません)をご提供いただくことがありますので、データを削除・紛失等しないよう、ご注意ください。

(7)応募作品は、未発表・オリジナルのものに限らせていただきます。本企画の結果発表前に、応募作品が本企画以外のコンテスト等で受賞した場合には、選考対象外となります。ただし本企画へ応募する前に、応募者自身が主催・運営するblog等のWebサイト、応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト(pixivを含む)、過去に「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」以外のコンテストに応募し選外となった作品、応募者自身が非営利目的で制作・発行した同人誌で発表された作品は未発表作品とみなされます。「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」「第3回百合文芸小説コンテスト」に応募し選外となった作品については、改稿等を行った場合につき未発表作品とみなされます。
3. できた作品に「百合文芸4」タグをつけて投稿しよう
投稿する前にもう一度、投稿形式が応募条件を
満たしているかチェックしましょう。
4. 応募完了!
審査が終わるまでお待ちください。
コンテスト結果が発表されると通知が届きます。
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