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この作品「【pwid】たとえそれが夢だとしても【隆一】」は「隆一」「メランコリック・ドリィムタワー」等のタグがつけられた作品です。

例のごとく似通った文章に文才の無さを実感します！本編をほぼ無視した話。話が急展開...

【pwid】たとえそれが夢だとしても【隆一】

千景

2015年9月28日 23:39

例のごとく似通った文章に文才の無さを実感します！
本編をほぼ無視した話。話が急展開過ぎて私もついていけません←
一夜の家族はいないけど、隆弘はいるという謎。

28日だからこそ、隆弘くんには幸せになって欲しいですね。

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張り付く髪のあまりのうっとおしさで目を覚ました。
時刻は午前6時。身支度をするには少し早すぎる時間だ。けれど二度寝をするほどの余裕もないことに気づいて、隆弘は嫌に重い体を起こしおとなしく布団を剥いだ。

大学一年、夏。人見知りを克服できないまま、ずるずるとここまでやってきた。一夜を追って入った大学は自分には少しレベルが高く、毎日かなりの時間を勉強に費やしていた。念願叶って彼と同じ大学へ入れたというのに、結局レポートの数が多すぎて一夜と話せないという本末転倒な結果に陥っている。

「はぁ」

ベットから立ち上がる前の一動で、溜息の数増えたよねという直人の言葉を思い出して少し苦笑する。

溜息を吐きつつも立ち上がれば後は容易いもので、隆弘は顔を洗い適当な私服に着替えると、いつものように朝食にありついた。
インスタントスープに、少しだけ加熱したトースト。直人の部屋を出た一人暮らしではそうそう凝った料理などしない。一夜も大体そうらしく、先日彼がおばさんに叱られたと語っていたことを思い出して少し笑う。

その時、キッチン近くのスピーカーからインターホンがなった。ドアの外より先に時計を確認すれば時刻は7時前。こんな時間にだれだろうか。

少し訝しみつつドアについた小窓を確認して……すぐ開けた。

「篠崎さん！」
「！？」

自分より少し小さな背。つい三日前に触れたはずなのにもう恋しい。間近くの肩に顔をうずめて、引き寄せる。しかしすぐにその存在が身じろぐのがわかって、隆弘は慌てて体を離した。

「ご、ごめんなさい」
「いや、嬉しいからいいよ」

ふわりと苦笑混じりに微笑む表情。あぁ、篠崎さんだと当たり前のことを自覚して、同時に安心する。

「とりあえず、中入ってください。散らかってますけど」
「ん、じゃあお邪魔します」

食べかけの朝食をキッチンへ移動させ、先程まで自分が座っていた場所に一夜を促す。ありがとう、と言った一夜を視界の隅で捉えながら、隆弘は内心先ほどの反応以上の驚愕と嬉しさでどうにかなりそうだった。
一人暮らしを始めた隆弘の部屋に一夜が訪ねてくるのは初めてだったりする。いつも外か直人の部屋、あるいは一夜の部屋だったりして、大学から少し遠いこともあり呼ぶこともなかったのだ。

「何かあったんですか？」
「あ、突然でごめんな？ちょっと気になることが―――」

そう、一夜がこちらを向いた時。隆弘の視界が唐突にぐらりと歪んで、意識が遠のいた。酷くゆっくりと落ちる感覚に隆弘は内心焦る。
なんだこれ、グラグラする。篠崎さんが来てくれたことが嬉しすぎて？いや、いくら何でもそれはない。じゃあどうして？

あぁそういえばさっきから、

「暑……」

＊＊＊＊＊

かちゃん。

「ん………あ、れ？」

皿同士が擦れるような音と、鼻孔を擽るどこか懐かしい香り。隆弘はいつ閉じたのだろうと思いつつ重いまぶたを静かに持ち上げた。

「あ、橘！気付いたみたいだな……！」

先ほどの呻きで気づいたのだろうか。隆弘の横たわるベットから少し遠いキッチンの一夜が振り返る。

「え……っと、俺」
「熱出して倒れたんだよ。今日は休んだほうがいいと思うぞ？」
「でも」
「俺はもう休む気満々なんだけど」

にや、と一夜にしては珍しい笑みが浮かぶ。どうやら一夜は既に、休みの連絡を友人か誰かに入れてしまったらしい。隆弘はひとつの間を置いて、ごめんなさいと小さな声で肯定した。

いつの間にか額に濡れタオルがのっている。隆弘は、寝ている間に一夜がのせてくれたのだろうそれの温度に身を預けつつ、ゆっくりと瞬きをした。

「篠崎さん」

ぎし、と一瞬高い音を立てたベットの上、隆弘が起き上がる。長い間甘受していた冷たさが額から遠ざかっていくのを感じながら、隆弘はベット傍に座っていた一夜へ視線を向けた。

「橘？あまり無理して起き上がるなって」
「大丈夫です。それより篠崎さん、俺に大事な用があったんじゃないですか」

一夜の肩が跳ねる。
切り出すべきか、少し悩んではいた。けれど熱に浮かされながらも、一夜の様子がおかしいことに気づいてしまったのだ。そもそもこんな早朝に訪れること自体何かおかしい。
案の定、視線を向けられた一夜は少し目をそらしていた。けれど少し間を置くと余裕が出来たのか、彼は苦笑気味に口を開いた。

「思い出したんだ、今日のこと」

どくり、と遠いどこかで音が鳴った。少し息が苦しくなった気がして胸に手を置く。
風邪のせいか、そうではないのか。いずれにしろ今の音が自分の心拍だったのに気づいて、その異常に思わず一夜を抱きしめた。
一夜は少し驚きながらも、震える隆弘の背に手を回すと続きを口にした。

「橘が今まで抱えてたことと、俺が逃げていたことは同じだった。俺が今まで感じながら逃げてた違和感は、この世界が長い夢だってことを教えるためだ」
「はい」
「橘は、もう生きてないんだな」
「…はい」

気づいてしまった。こんなに長い間忘れていたのにと思う一方で、やっぱりと思う自分がいる。ベットから乗り出して抱きしめた半身が、自分とは違う場所にいることを自覚してしまって、とても怖い。

「篠崎さんは、終わらせに来たんですか」

隆弘は口にしない。
できれば問いたくなかったこと。彼がいないこの世界では、彼を好きになる理由だけが残されてしまうこと。それは隆弘が耐えられるものではないということ。――それらすべてが、篠崎一夜とはなんら関係ないということ。

「そうだな、終わらせに来た。でも多分橘が思ってるのとは違うよ」

唐突に、抱きしめていた身体が離れた。目が合う。隆弘は、無機質に感じていた自室の壁が温かく溶けていく錯覚を覚えて瞬いた。
一夜の右手がそっと隆弘の頬に触れて。やわらかく微笑む彼がそこにいる。

「待たせてごめん。好きだよ、橘。俺は、この夢に逃げたい」

逃げていると自覚して、それでもこの世界を許して一夜は隆弘を受け入れた。
夢を見るという確約を、現実の生と引き換えにしてまで自分に差し出してくれている。そこに、何の衒いもなく。

「っ、」

熱に、浮かされている。
ずっと罪だと思っていたそれは、現実になってみればただ安らかな許しだった。ゆるく、食むようなキス。

それは愚かしい、平穏のおわり。

張り付く髪のあまりのうっとおしさで目を覚ました。
時刻は午前6時。身支度をするには少し早すぎる時間だ。けれど二度寝をするほどの余裕もないことに気づいて、隆弘は嫌に重い体を起こしおとなしく布団を剥いだ。

大学一年、夏。人見知りを克服できないまま、ずるずるとここまでやってきた。一夜を追って入った大学は自分には少しレベルが高く、毎日かなりの時間を勉強に費やしていた。念願叶って彼と同じ大学へ入れたというのに、結局レポートの数が多すぎて一夜と話せないという本末転倒な結果に陥っている。

「はぁ」

ベットから立ち上がる前の一動で、溜息の数増えたよねという直人の言葉を思い出して少し苦笑する。

溜息を吐きつつも立ち上がれば後は容易いもので、隆弘は顔を洗い適当な私服に着替えると、いつものように朝食にありついた。
インスタントスープに、少しだけ加熱したトースト。直人の部屋を出た一人暮らしではそうそう凝った料理などしない。一夜も大体そうらしく、先日彼がおばさんに叱られたと語っていたことを思い出して少し笑う。

その時、キッチン近くのスピーカーからインターホンがなった。ドアの外より先に時計を確認すれば時刻は7時前。こんな時間にだれだろうか。

少し訝しみつつドアについた小窓を確認して……すぐ開けた。

「篠崎さん！」
「！？」

自分より少し小さな背。つい三日前に触れたはずなのにもう恋しい。間近くの肩に顔をうずめて、引き寄せる。しかしすぐにその存在が身じろぐのがわかって、隆弘は慌てて体を離した。

「ご、ごめんなさい」
「いや、嬉しいからいいよ」

ふわりと苦笑混じりに微笑む表情。あぁ、篠崎さんだと当たり前のことを自覚して、同時に安心する。

「とりあえず、中入ってください。散らかってますけど」
「ん、じゃあお邪魔します」

食べかけの朝食をキッチンへ移動させ、先程まで自分が座っていた場所に一夜を促す。ありがとう、と言った一夜を視界の隅で捉えながら、隆弘は内心先ほどの反応以上の驚愕と嬉しさでどうにかなりそうだった。
一人暮らしを始めた隆弘の部屋に一夜が訪ねてくるのは初めてだったりする。いつも外か直人の部屋、あるいは一夜の部屋だったりして、大学から少し遠いこともあり呼ぶこともなかったのだ。

「何かあったんですか？」
「あ、突然でごめんな？ちょっと気になることが―――」

そう、一夜がこちらを向いた時。隆弘の視界が唐突にぐらりと歪んで、意識が遠のいた。酷くゆっくりと落ちる感覚に隆弘は内心焦る。
なんだこれ、グラグラする。篠崎さんが来てくれたことが嬉しすぎて？いや、いくら何でもそれはない。じゃあどうして？

あぁそういえばさっきから、

「暑……」

＊＊＊＊＊

かちゃん。

「ん………あ、れ？」

皿同士が擦れるような音と、鼻孔を擽るどこか懐かしい香り。隆弘はいつ閉じたのだろうと思いつつ重いまぶたを静かに持ち上げた。

「あ、橘！気付いたみたいだな……！」

先ほどの呻きで気づいたのだろうか。隆弘の横たわるベットから少し遠いキッチンの一夜が振り返る。

「え……っと、俺」
「熱出して倒れたんだよ。今日は休んだほうがいいと思うぞ？」
「でも」
「俺はもう休む気満々なんだけど」

にや、と一夜にしては珍しい笑みが浮かぶ。どうやら一夜は既に、休みの連絡を友人か誰かに入れてしまったらしい。隆弘はひとつの間を置いて、ごめんなさいと小さな声で肯定した。

いつの間にか額に濡れタオルがのっている。隆弘は、寝ている間に一夜がのせてくれたのだろうそれの温度に身を預けつつ、ゆっくりと瞬きをした。

「篠崎さん」

ぎし、と一瞬高い音を立てたベットの上、隆弘が起き上がる。長い間甘受していた冷たさが額から遠ざかっていくのを感じながら、隆弘はベット傍に座っていた一夜へ視線を向けた。

「橘？あまり無理して起き上がるなって」
「大丈夫です。それより篠崎さん、俺に大事な用があったんじゃないですか」

一夜の肩が跳ねる。
切り出すべきか、少し悩んではいた。けれど熱に浮かされながらも、一夜の様子がおかしいことに気づいてしまったのだ。そもそもこんな早朝に訪れること自体何かおかしい。
案の定、視線を向けられた一夜は少し目をそらしていた。けれど少し間を置くと余裕が出来たのか、彼は苦笑気味に口を開いた。

「思い出したんだ、今日のこと」

どくり、と遠いどこかで音が鳴った。少し息が苦しくなった気がして胸に手を置く。
風邪のせいか、そうではないのか。いずれにしろ今の音が自分の心拍だったのに気づいて、その異常に思わず一夜を抱きしめた。
一夜は少し驚きながらも、震える隆弘の背に手を回すと続きを口にした。

「橘が今まで抱えてたことと、俺が逃げていたことは同じだった。俺が今まで感じながら逃げてた違和感は、この世界が長い夢だってことを教えるためだ」
「はい」
「橘は、もう生きてないんだな」
「…はい」

気づいてしまった。こんなに長い間忘れていたのにと思う一方で、やっぱりと思う自分がいる。ベットから乗り出して抱きしめた半身が、自分とは違う場所にいることを自覚してしまって、とても怖い。

「篠崎さんは、終わらせに来たんですか」

隆弘は口にしない。
できれば問いたくなかったこと。彼がいないこの世界では、彼を好きになる理由だけが残されてしまうこと。それは隆弘が耐えられるものではないということ。――それらすべてが、篠崎一夜とはなんら関係ないということ。

「そうだな、終わらせに来た。でも多分橘が思ってるのとは違うよ」

唐突に、抱きしめていた身体が離れた。目が合う。隆弘は、無機質に感じていた自室の壁が温かく溶けていく錯覚を覚えて瞬いた。
一夜の右手がそっと隆弘の頬に触れて。やわらかく微笑む彼がそこにいる。

「待たせてごめん。好きだよ、橘。俺は、この夢に逃げたい」

逃げていると自覚して、それでもこの世界を許して一夜は隆弘を受け入れた。
夢を見るという確約を、現実の生と引き換えにしてまで自分に差し出してくれている。そこに、何の衒いもなく。

「っ、」

熱に、浮かされている。
ずっと罪だと思っていたそれは、現実になってみればただ安らかな許しだった。ゆるく、食むようなキス。

それは愚かしい、平穏のおわり。

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