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  • なんとなくで「リレー小説スレ@三人称ファンタジー縛り」を始めてみます。
    皆さん適当にうかうかと軽率に書いていってみてください。
    ただし、下記の条件を設けます。
    ○みんな仲良く!それができないときはこのスレを削除します。
    ○ジャンルは、R18、R18G、戦闘系、学園系、病み系以外ならなんでも。
    ○一回の書き込みは300字まで。
    ○連投厳禁
    ○メアリー・スー(容姿、能力)、パワーインフレ、メタ視点、一人称視点厳禁
    ○できれば100コメ内できれいに終わりたい。
    ○スレ主はここを立てたってだけの人でまともな管理はしません。何かしてくれと言われても困ります。

    ではどうぞ!
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    「それでは花のある所に案内しましょう」
     そう言うと、領主様はジュジュの前を歩き始めた。ヒカリゴケは、洞窟のここそこに群がって静かに光を放っている。
     「こんなに輝いているのって、初めて見たわ。まるで洞窟を案内してくれてるみたい」
     心細さが無くなったジュジュは、うっとりとロマンチックな気分になった。 そして洞窟を抜けた時、目の前に真昼の明るさが広がった。草原が広がり、遠くにお城が見えた。ジュジュは思わず言った。
    「あれは、領主様のおしろですか?」
    「ウム。キミ、その汚れた服を着替えるかね」
    「エエ」と返事をしたらあのお城に入れるにちがいない。おかしの家じゃなくってお城だわ。ジュジュはシンデレラにでもなったような心地がした。興奮して足が宙に浮いているようだ。領主様の後について、ふわふわとした足取りで歩いた。領主様は少し首を前に出し、両手をポケットに突っ込み、猫背気味に歩いている。何だかトリビアに似てる。トリビアも、無口になった時あんな歩き方してたわ。ジュジュは、領主様に追いつこうと、小走りに走った。領主様はジュジュを振り返った。眉間にしわを寄せて、強い視線をグッとジュジュに向けた。
     トリビアの顔だ。懐かしい。青空のような明るい瞳が突然曇り、鋭い視線を私に寄越した時、しびれるように心がうずいた。私はこの視線に取りつかれたのだわ。今ここにトリビアがいる。人の心って移ろいやすいものよ。また私に気持ちが移ったのよ。ああ、そんなはずないわ。私夢見ているんだわ。薬の花を取りに森に入った夢。そしてトリビアが私の心に戻って来た夢。夢なら何を思ってもいいわよね。結婚は紙切れで縛れても人の心は縛れないわ。心は自由よ。恋はつかみどころのない幻想。私は自分に正直になるわ。そう思った時、指輪は熱く熱を帯び、ジュジュの指を焼いた。ジュジュは思わす指輪を外した。
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      だが、実際にはそのつもりになっていただけで、指輪はジュジュの体の一部となってしまったかのように食いついて外れない。指輪の高熱が、外そうとかけた指にまで伝わり、我慢できずにジュジュは短い悲鳴を上げた。
      「あうっ……!」
      すると、その声が届いたのか、領主がジュジュのほうに振り返る。そして、苦悶の表情を浮かべるジュジュに近づくと、幾分か強まった口調で言う。
      「落ち着きなさい。一度、頭を空にするんだ」
      だが、その言葉は耳に届いているものの、それがすぐにできるほど、ジュジュは器用ではない。指を焼く高熱をどうにかして振り払おうと、ジュジュは手を激しく振って暴れた。だが、当然のことながら、そんなことで指輪は外れない。
      「熱い!熱い!助けて、助けて、トリビアル……!」
      そこで出てきたのは、想いを捧げた想い人の名だった。そして、その名が口から出たことで、ジュジュの中で押さえ込んでいたあらゆる感情が指先に集中し、指輪があたかも燃えているような赤い輝きを放つ。
      そのまま、激しい熱を指先に感じ続けながら、ジュジュは改めて、自分のトリビアルへの想いの強さを悟った。どれだけの覚悟を決めて、彼のことを愛したのか――それ故に、自分は何もかも捧げるつもりで、一度しかない痛みを彼に捧げたのだと。
      だがそこで、冷たい目で嘲笑うようなサーシャの顔が浮かび、ジュジュはそこで、また別の激しい感情に包まれる。その変化を示すかのように、指輪から放たれていた輝きの色が変わり、あたかも心の闇を示すかのように暗く変化していく。
      そして、サーシャへの強い思いを言葉にして放とうとしたその瞬間、
      「御免」
      短い言葉が耳に届いた直後、首の後ろにもたらされた衝撃に、ジュジュの意識は一瞬にして閉ざされた。
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      • LRW
        お嬢さん、目を覚ましたかね。ここは私の城だ」
         ジュジュは大広間のソファーに寝かされていた。
         「あまりにも怒りを募らせていたから、ちょっと手荒だったが、この森にいる間はその拘泥している心を断ってもらった。気付け薬のハーブティーを飲みなさい」
        領主様は親指と中指を合わせてパチンと鳴らすと、湯気の立っているティーカップが手の中に現れた。
         ジュジュは泥にまみれた自分の服を眺め、怒りをぶちまけていた自分を思い出し、気恥ずかしくなった。
         「この指輪から大蛇が現れて、素敵な青年に変身したわ。そして私を諭した。その時は素直に反省したわ。それからオオカミがトリビアルに変身した。それから領主様に、それからトリビアルに・・・私、怒り心頭に達したわ。この指輪、私をからかっているのよ」
        そう言ってジュジュは再び指輪を外そうとしたが離れない。
        「そあの指輪は、お嬢さんの血をたくさん吸っている。この森を出るまで指から離れないよ」
        そう言ってジュジュの服を見、思い出したように指を再び鳴らした。
        泥は消え、服はきれいになった。
        領主様は言葉をつづけた。

         「薬草屋が言ってたことをすっかり忘れてしまって、かなわぬ恋に拘泥して、そんな心で薬草の花を摘むと、薬効が消えてしまうのだよ。拘泥は何かにつけ不幸の根源だ。その一点に思いを募らせていると、視野が狭くなり妄想に取りつかれる。世の中のありようが見えなくなる。闇の世界だ。自分をも滅ぼしてしまう。さあ、自分の心を静に見つめて。姉のように慕っていたサーシャを、心から助けたいと思えるかね」
        ジュジュは、この森に入る時、叔母の言った言葉を思い出した。
         『どうか無欲な心で悪しき考えに取りつかれないように祈っているよ』
         幼き頃のターシャとの思い出があふれた。ターシャ、生きてちょうだい。この世から消えてしまわないで。
        ジュジュは領主様に言った。
        「薬草の花のある所を教えてくださいな。私、何としてもターシャを助けたいわ」
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          だがそこで、領主は首を横に振る。
          「それは、私にはできない」
          それを聞いて、理由を問い質そうとしたジュジュに、優しく諭すような口調で領主が続ける。
          「あの花にもまた、心がある。そうして誰かに安易に頼ろうとする心の持ち主には、あれが花を開くことはない」
          「……」
          ジュジュの心が、その優しく諭すような言葉に、大きく揺り動かされた。それと同時に、無意識のうちに指輪に目を向けると、指輪は自分の心の迷いを表しているかのように、弱々しく瞬いている。
          「もしかしてその花は、この指輪の輝きに反応する……?」
          そうつぶやくと、領主が大きくうなずいた。そして、指輪にそっと手を添えながら言う。
          「そう。あの花を摘むためには、その指輪の輝きが必要なんだ。それはつまり、君が本心からサーシャを救いたい、そう思っていない限りは、決して見つからないということなんだよ」
          口調こそ優しいものの、ジュジュはどこか突き放されたような印象を受けた。しかし、領主の言葉通りならば、あの薬草を探し出せるのは、自分だけということになる。
          そして、本心からサーシャを救いたいと思わない限り、その想いで心が満たされない限り、その花は自分の前には、決して姿を見せることはない。それを心の中で反芻することで、ジュジュは不意に、サーシャの生殺与奪の権限を自分が握っているということに気づいてしまう。
          「サーシャの生死は、私にかかっている……」
          そうつぶやくと同時に、ジュジュはものすごい重圧に押しつぶされそうになる。そして、サーシャとのそれまでの交流で得たあらゆる思い出が、ジュジュの心の中を満たすと共に、相反する感情が激しくせめぎ合う。
          と、そこで不意に浮かんだのは、心配そうな表情で涙を浮かべる、幼い頃のサーシャの姿だった。それが、いつの頃の思い出だったのか――その記憶を辿っていくうちに、ジュジュの頭の中にその時の情景が蘇る。
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          • LRW
            ジュジュ、ジュジュ、何度もそう呼んでサーシャは横たわった小さな体を揺すっていた。
            まだ幼いサーシャは泥にまみれた顔を拭う事も忘れてジュジュの安否を気遣っている。
            ……そうだわ、幼い頃、私達は一度この森で迷子になった。
            どうして忘れてしまっていたのか、それはジュジュにさえ分からない。
            その後のたくさんの出来事、それは当然トリビアルの事が多く含まれていて、そんな記憶に埋もれてしまっていた。
            「グルルルル……」
            足を滑らせて二人で小さな崖を転がり落ちた先で、ジュジュとサーシャは狼に囲まれたのだ。
            あの時、サーシャは幼いながらにジュジュを護ろうと必死でその体を抱きしめていた。
            ぼんやりと目を開いた先で見たサーシャの泣き顔を、ジュジュはゆっくりと思い出していく。
            それはひどく幼く、なのに恐ろしいほど強い。
            真っ直ぐに狼を睨みつける眼光は、心の内に秘められた彼女の強さを映し出していた。
            「……ジュジュに何かしたら私が許さないわ。もしも食べたいなら、私をお食べなさい!!」
            いくら強さを秘めていたとて、ただの幼い子供。
            狼がその眼光に怯む事などなかった。
            けれど、なにが反応したのか二人をふわりと淡い光が包み込んでいく。
            怖くて震えながら、それでも打ち付けた体のあちこちが痛んで動けないジュジュは、そこで甘く優しい花の香りを嗅いだのだ。
            その光を見た狼達は、一瞬にして竦み逃げ出していった。
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            • at
              「そうだ、あの時のあの花だわ」ジュジュは閃いた。
              「甘く優しい香りのする不思議な力のある花。この指輪の力を借りてさがせばいいのだわ。きっと探せるわ。領主様、私勇気が湧いてきました。きっと薬の花を探し出して見せます」
              「そうですか。それでは気を付けて行ってらっしゃい」
              ジュジュは小躍りしそうに喜んだ。そして館を飛び出し、一目散に走った。
              昼の世界から夜の世界に通じる洞窟に入った。指輪の力を信じたジュジュは、もう暗い森を恐ろしいとは思わなかった。
              ヒカリゴケがお星さまのように輝いて、そしてあの時と同じ岩棚からオオカミがジュジュを見詰めている。ジュジュはオオカミを無視して通り過ぎようとした時、岩棚からオオカミが飛び降り、ジュジュ行く道を塞いだ。
              「森は危ないから私もご一緒しましょう」
              「結構よ、指輪が守ってくれるから」
              ジュジュはそう言って指輪をはめている手を、もう片方の手で力を込めて握りしめた。
              「まあ、そう仰らずに」
              そう言いながらオオカミはジュジュの後に付いて来た。
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                「君の探す花なら、私が知っているよ」
                 狼の言葉に、ジュジュの足が止まることはない。
                 食べられそうになった恨みはそれほど強かった。
                 だが、次の一言には足を止めざるをえなかった。
                「あの辺りは、君の知ってどんな山とも違うんだよ」
                 それは……あり得る。
                「どういう事です? 」
                 狼の顔が、ニヤッと笑う。
                 もしかすると、自分ををそった狼とは全く違う、中身は全くの別物なのかもしれない。
                「本当は、昼間見た方がいいんだけどね。左の谷を、強い光で照らしてごらん」
                 ジュジュは気合を入れ、指輪をはめた手に力を込めた。
                 光が強まる。
                 そこで見えたのは、大きな谷。
                 だが、そこには特徴がある。
                 周りの山とは関係なく、きれいなUにえぐられた谷が、つづいている。
                「……怪獣の痕跡。ですか? 」
                 この国にいる者なら皆知っている。
                 異世界からやってきた怪獣が、被害をまき散らしながら移動した後だ。
                「反対側を見てごらん」
                 狼に言われて光を向けると。
                「何あれ。骨? 」
                 そこで、谷は途切れていた。
                 その終わりには、ところどころに木々が入り込んではいたが、白く、巨大な曲線の物が、何本もならんでいる。
                「怪獣の、骨だよ。あそこに、君の探す花がある」
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                  「どうしてあんな所に・・・」
                  「白骨化した恐竜は、身を挺して異星怪獣から命の花を守ったのだ」
                  「どういう事? あなた、何者?」
                  と言いながらジュジュは指輪の光で遠くを照らした。荒涼とした太地が広がっている。
                  「ここはどこ? 不毛の世界だわ」
                  「君が入って来た森は、この魔法の世界のほんの一部さ。この世界を不毛にした輩は、太陽系の軌道の裏にある魔界に住んでいた。そして軌道を無視して自由気ままに移動していたが、太陽系すべてを我が物にしたいと野心を持った。そのため太陽に近づきすぎてしまった。操作ミスだ。魔界の蒸発が始まった。魔界が隕石となって絶滅する前に脱出を決めたのだ。同じ磁場を持つ一番近い星は、この森だったわけさ。
                  異世界怪獣がこの森で生きるためには、命の植物が必要だが、我々も必要だ。渡すわけにはいかない。異世界怪獣たちは森をなぎ倒しすべてを蹴散らして走り去った。領主様はかろうじてあの森を守った。そして荒れ果てた森から光を消して閉じてしまったのだ。あの洞窟のトンネルを境に昼と夜に分けてしまったのだ。私たちが年月を積み上げ築いてきたこの森を、奴らは一瞬にして破壊してしまったのだ。許すわけにはいかない」
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                    「でも、領主さまはそんなことを言ってくださらなかったわ」
                    「そのことは、彼も悩んだと思うよ」
                     その疑問にも狼は答えてくれる。
                    「領主さま、ケントさまは、あの怪獣について異なる見解を持っておられるんだ」
                     以前から覚悟していた通りに。
                    「あのお方は素晴らしい人だ。
                     僕の一生をかけて仕えるに値する方。
                     それは変わらない」
                     そして一呼吸置き、さらなる覚悟を決める。
                    「あの怪獣は、ただ生きたかった。
                     たとえ魔界の生き物であろうと、そこは僕たちと変わらない。
                     むしろ、地球へ来たことを後悔し、絶望していた。
                     そう思っておられる。
                     だから、その指輪を作られた」
                     狼の鼻先が、ジュジュの手のよって示した。
                    「これが?」
                    「そう。その指輪は、どうやったら人は絶望に落ちるか、そしてそこからどうやれば再び立ち上がれるか。
                     それを知る者のために作られた」
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                      「ケント様って領主様のこと? あなたは領主様の家来なの? 本当は、もしかして、オオカミじゃなくって魔法をかけられた人間かしら。どうやったら絶望に落ちるかですって? わかってたら絶望になんか落ちないと思いますけど・・・」
                      「いや、己の弱さだ。わかっていながら己の欲望にってこともあるさ。絶望の引力に引っ張られてゆくのさ。その指輪に、立ち上がれる力をもらいなさい」
                      ジュジュはその言葉に胸を突かれ、指輪を胸に押し当てた。
                      「私、忘れかけたり思い出したり、断ち切れない自分の心が悲しいわ。この指輪が救ってくれるとでも言うの? 」
                      「いや、そんな個人的な欲望、忘れなくともいいさ。君が広い世界を見詰めて、広い心になって、広い世界にガムシャラに飛び込んで行けば、やがて君が何倍にも逞しく成長して、君の個人的な欲望は瘡蓋ほどにしか感じなくなるさ。怒りを爆発させながらも、サーシャを助けようと命がけでこの森に入って来た。その心意気と心根を買っているのだが・・・」
                      ジュジュはあられもない自分の姿を思い出し恥ずかしくなった。
                      「その話はもういいですわ。それよりサーシャを助ける花のある場所を教えてくださいな。一刻も早く持って帰らなくては。」
                      「再びこの森に帰って来ることを約束するなら教えてあげよう。かろうじて残っている森の中だよ。サーシャと一緒にオオカミに囲まれていたその場所だ」
                      「どんな獰猛な動物に出会うか心配だから、私をその場所に連れて行ってくださいな。そしたら、またこの森に戻って来ます。戻ってきて何をすればいいのかしら」
                      「異星怪獣を捜すのを手伝ってほしいのだ。その指輪の力ががいるのだよ」
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