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  • なんとなくで「リレー小説スレ@三人称ファンタジー縛り」を始めてみます。
    皆さん適当にうかうかと軽率に書いていってみてください。
    ただし、下記の条件を設けます。
    ○みんな仲良く!それができないときはこのスレを削除します。
    ○ジャンルは、R18、R18G、戦闘系、学園系、病み系以外ならなんでも。
    ○一回の書き込みは300字まで。
    ○連投厳禁
    ○メアリー・スー(容姿、能力)、パワーインフレ、メタ視点、一人称視点厳禁
    ○できれば100コメ内できれいに終わりたい。
    ○スレ主はここを立てたってだけの人でまともな管理はしません。何かしてくれと言われても困ります。

    ではどうぞ!
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    そこで叔母は歩みを止めた。
    「ここから先は、お前しか入れない。その指輪を持つ者だけに許された領域だ。……どうか、サーシャの命を救っておくれ」
    涙が浮かぶその瞳を、ジュジュは真っ直ぐに見つめる事など出来ない。
    まだ、自分の胸の奥深くから邪な想いが湧き上がってくる。
    彼に、抱かれたあの日の自分。
    あれが間違いだったなど、誰にも言えない。
    なのに、彼はすぐにジュジュではなくサーシャを婚約者に迎えたのだ。
    まだ、愛している。
    ジュジュの心を深く黒いものが覆い尽くしていきそうだった。
    その瞬間、じわり、指輪が熱を帯びていく。
    怖くなって指輪を外そうとしたジュジュの手を、叔母はそっと引き止めた。
    「ダメ、外してはいけない……。あんたの心ごと、この森に溶けてしまうよ」
    よく分からない、言いかけたけれど上手く声にならなかった。
    ジュジュは深い森を振り返り、そっと叔母に視線を戻した。
    「伯母様……お願い、私には出来ない」
    涙ぐんだのは、計算などではなかった。
    ただ自分を喰らいつくそうとするような森が怖くて仕方がないのだ。
    震える声で懇願したけれど、叔母は首を縦には振ってくれなかった。
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    • at
      「知ってるんだよ、サーシャは自分の彼をジュジュも慕っていたことを。どうか無垢な優しい心で花を捜してきておくれ。指輪は人間の心の動揺をを鋭く感知して反応するからね。もしジュジュの心に邪な考えが浮かんだら、何回もその心が重なったとしたら、その指輪から邪悪な心の化身が大蛇となって地上に飛び出すことになるんだよ。どうか穏やかな優しい心で花を捜しておくれ。指輪はかすかな光を集めてジュジュの足元を照らして道案内をしてくれるからね。それから、足元には気を付けて。椰子の実ほどの黒い球がたくさん転がっているから。それに触ると皮膚がケロイドになって激しく痛むのだよ。領主様が森を荒らしに来た人間どもを追い出すために作ったのさ。あの球に焼かれた猟犬が私の店に来たので、薬を調合して治療してあげたがね。どうか無欲な心で悪しき考えに取りつかれないように、祈っているよ。
      そう言い終わると 叔母は丸木橋を渡って行ってしまった。

      地獄の口がぱっくり開いたような闇の中、ジュジュは指輪をはめた手をそっと足元に差し出した。指輪は月明かりを吸って地面をほのかに照らした。
       「指輪さん、どうか私の気持ちがわかるなら許して、まだ迷いがいっぱいよ。私は自分を正直にせめて正直に見つめますから、どうか悪魔に変身しないで。今の私には、それしかできないわ。迷ってばかりよ。どうか教えて頂戴、サーシャを助ける花を」
      ジュジュは怖さで頭が真っ白になりながら指輪に話しかけ、暗闇に指輪の嵌った手をを差し出した。
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        一人残されたジュジュは、闇そのものとも思えるような漆黒の森の中を、指輪を嵌めた手を前にかざしながら、ゆっくりと歩を進める。照らされた足元を頼りに、ジュジュは目的の花を探しながら、森の中を進んでいるのだが、それはなかなか見つかる気配がない。
        そして、照らされた足元を見るということは、ほぼ必然的に嵌められた指輪が視界に入ることになる。それを見ながら、ジュジュはふと、つい先程の出来事を思い出した。
        まさか私は、この指輪に選ばれたとでもいうのかしら――?
        叔母の言葉と、先程の出来事から、ジュジュはそう推測する。自身の血を吸い取ったということはすなわち、この指輪はもはや自分の体の一部ということなのではないか――
        そんなことを考えていると、今度は叔母の言葉が浮かんできた。あたかも、この指輪の性質を知っているかのような口ぶりから、叔母も以前に同じ経験をしたのではないかと連想する。
        もしかして叔母様も、今の私と似たようなことを経験したのかしら――?
        だが、そう思った瞬間、足元を照らしていた光が弱まり始めた。そして、叔母の言葉――指輪は、自分の心の迷いに反応する――それを思い出し、ジュジュは一度立ち止まると、迷いを振り払うかのように激しく首を横に振った。
        「とにかく今は、叔母様から頼まれたことをやらないと……」
        そうつぶやきながら、再び足元を見据えると、それに呼応したかのように、指輪が元の輝きを取り戻した。
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        • LRW
          よそ者が森に入ったぞ、警戒せよ。と言わんばかりに森がざわめき始めた。木々が揺れ、小動物が騒々しく木々を駆け回っている。鳥たちが羽音を立てて飛び立った。獣の遠吠えも聞こえる。頼るものは指輪しかない。ジュジュは指輪の嵌った手を胸に押し当てた。
          「神様、私を助けて。そういえば黒い球に気をつけろといっていたけど」
          ジュジュは乏しい指輪の光であたりを見渡した。あった。一個見つけた。指輪の光で照らし出された球体は、大木の根元で静止している。
          「この球体を作った領主様って、もしかして私の店に入って来た、猛禽類の仮面をかぶったあの紳士だったりして・・・。もしも、どこかで私を見張っているかも知れない。私はこの森の草一本、石一つ持ち出さないわ。だから指輪よ指輪よ、私を薬草の花の所に導いてちょうだい」
          すると指輪の嵌った手が前方に引っ張られ、ジュジュつんのめるようにあわてて歩を進めた。
          よかった。きっと花の所に連れてってくれるわ。ジュジュは引っ張られるに任せて進んでいたら、突然、ズズズーっと斜面に足を取られ滑り落ちた。
          「私は何てひどい目に合っているのかしら。誰のせい? 叔母さまもひどいわ。こんな地獄みたいなところに私を寄越して。サーシャったら病気になったって私より幸せじゃないのさ。一生守ってくれる彼がいるのですもの。捨てられた私はどうなのよ。恋敵を助けるために泥まみれになったわ。私ったらおめでたいったらありゃしない。サーシャが元気になれば、彼が喜ぶ。二人して幸せな家庭を築いて、いい気なものだわ。卑怯者、軽薄伊達男。私の気持ちを弄んだ。私は一生恨むわ。許さない。二人を呪ってやる。やさしい心になって花を捜してったって、怒りばかりが溢れてくるわ。
          泥にまみれたジュジュは罵詈雑言をまくし立てた。すると指輪が俄かに熱を帯び、明るさが増した。そして大蛇が暗闇に浮かんだ。
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            大蛇を目の前にしても、ジュジュの怒りは収まらなかった。
            「私を不幸にするならすればいい。人を妬んでなにが悪いというの? 私をこんな気持ちにさせた彼に罪はないというの? そんなのおかしい……絶対におかしいっ!!」
            シュルリ、大蛇の影は突然人の形に変わる。
            それはジュジュの目の前までやって来て、ふわりと月明かりに姿を現した。
            わりと整った顔立ちの、背の高い青年がそこにいる。
            「……キミは、悪くないとでも?」
            「え?」
            「彼の軽薄さに気づかず、大切なものを捧げたのはキミ自身のはずだ。……なのに、それさえも人のせいにするのかい? 考えてもごらん。キミは、今後一生あの男の軽薄さに悩まされる事はないんだ。それを引き受けてくれるのは、サーシャなんだろ?」
            「それは……」
            言い返そうとしたけれど、なにも浮かばなかった。
            彼の言葉はひどく的確だ。
            中身のない彼の甘い言葉に惑わされ、信じてしまったのはほかならぬジュジュ自身。
            悔しくて唇を少し噛んだけれど、彼の言うようにあんな男との結婚生活はあまり幸せではないのかもしれない。
            不意に浮かんでいた怒りが鎮まり、ジュジュは小さく息をついた。
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            • at
              ジュジュは指輪を見詰めた。あの青年は蛇の化身かしら。私を諭そうと、あんなことを言った。魔法のかかった指輪に、私は今指輪の力に守られている。私はきっと花を見つけてこの森から無事帰れるに違いない。さあ、指輪を信じて歩き出しましょう。
              ジュジュはやや元気を取り戻し歩き始めた。ヘンデルとグレーテルは森の中でお菓子の家を見つけたわ。魔法使いをやっつけて無事家に帰ったわ。私は薬草の花を見つけて、無事この森から帰らなければ。サーシャを助けなければ。あの青年の言葉を聞いてから、少し心の余裕が出来たようだ。
              森は怖くないと思うと、目が暗さに慣れ、森の様子が見えるよになった。
               大蛇と青年の出現以来、森は静かになっている。指輪に導かれながら歩いていると、目の前に大きな岩穴が立ちはだかっている。そして岩の岩の中は、光で溢れていた。よく見るとヒカリゴケの輝きだ。
               何だか神聖な光に思えるわ。こんな所にあの花もあるのかしら。と思い指輪を見た。何の反応もない。ちょっと入っていいかしら。魔法使いが出て来やしないわよね。
              中に入ると、奥の高い岩棚から、じっとジュジュを見詰めている。ジュジュはハッと足を止め、指輪を握りしめた。全身に緊張が走った。ウッと短く獣の唸る声がした。ジュジュは恐怖で立ち尽くした。
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                ヒカリゴケに照らされた、それは狼だった。
                グルグルと唸り声をまだ響かせ、狼はこちらをじっと見つめている。
                いつこちらに駆け出してきてその牙を剥くのだろうか。
                そう思うと、ジュジュはやはり動けないまま強く強く指輪を握りしめていた。
                不意に狼がタッと前足を蹴り、その体はしなやかに高い岩棚からジュジュに向けて飛び出してくる。
                「きゃあっ!」
                目を瞑り、ジュジュはその場に小さくしゃがみ込んだ。
                「……やぁ」
                聞き覚えのある声に驚いて顔を上げると、ジュジュの目の前に見慣れた男がいる。
                今頃サーシャの傍に付き添い、婚約者の身を案じているはずの男。
                ジュジュの純潔を軽はずみに奪った男、トリビアルだ。
                けれど目の前にいるのが本人であるはずがない。
                かつてと変わらず甘い瞳を向ける目の前の男を、ジュジュはなんとも言えない心地で見つめた。
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                • at
                  (……いけない、いけない!)
                   ジュジュはあわてて頭をふった。
                  (トリビアルなら悪いし、正体が醜悪で獰猛な魔物だったらなお悪い!)
                   そして指輪を見つめた。
                   今はまだ、この灯りを強めて目くらましにするしか思いつかないけど。
                  「あなたは、誰なの?!」
                   思うように息がでない。それでも、しっかり見据えることはできた。
                   彼の顔が驚きで固まった。
                  「ごめんよ。君がもっとも慕っている人の顔なら、リラックスしてくれると思ったんだ」
                   そして見た。
                   トリビアルの姿が、部屋で指輪を探した猛禽の顔の男に変わる。

                   猛禽男、改め領主さまとジュジュは、共に歩いている。
                   狼も、触れるとケロイド状になるという黒い球も、勝手に左右によけていく。
                   彼曰く、トリビアルは自分を慕うジュジュがあまりに寂しげだったこと。
                   それで一時期付き合うことにした。
                   このことはサーシャも承知している。
                   実はずっと以前から2人は付き合っていることを話した。
                   
                   ジュジュは、もう泣きたくなった。
                  「結局、私の独りよがりなんですね」
                  「おいおい、自分を悪く言うんじゃない」
                   領主の暖かい声。
                  「結局、人間とは自分の都合の良いようにしか世界を見れないのさ」
                   そして、ガクッと肩を落とした。
                  「わたしだって、人に言いたくない失敗ぐらいある……」
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                    「領主様でも、ですか?」
                    恐る恐るジュジュが問いかけると、領主は小さくうなずき、ゆっくりと振り返った。それに釣られて、ジュジュが来た道を振り返ると、領主はさらに一言言う。
                    「例えば、この森にしたってそうだ」
                    「この森が、ですか?」
                    さらにジュジュが問いかけると、領主は小さくうなずいて応じる。
                    「この森が、呪いの森などと呼ばれるようになってしまったのは、私のせいだからね」
                    「呪いの森……」
                    それは、叔母からはもちろんのこと、他の知り合いからも、何度となく聞かされたことだった。つい先程も、しっかりと念を押されたことでもある。
                    「叔母様は、黒い実に気をつけろと……」
                    「フラム・ノワルのことだね?そう、あれもここが呪いの森などと呼ばれるようになってしまった理由の一つでもある。あれは、不届きな侵入者の撃退には確かに役に立ったが、それと同時にそのような不名誉な呼ばれ方をするようになってしまった。いくらこの森が荒らされるのを防ぐのに役立っているとしても、自分の土地がそういう呼ばれ方をするというのは、やはりいい気分ではない」
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                    • LRW
                      「ですが、この森は……」
                      ジュジュは目の前の暗闇に目を凝らして言った。
                      「思っていたよりも、私に優しいみたいです」
                      にこりと笑みを浮かべるジュジュに、領主は不思議そうに首を傾げる。
                      ジュジュの心にあったもの、それはこの森に入ってから大きく変化を遂げていた。
                      トリビアルに対する想い、サーシャに抱いた劣等感や嫉妬心、それが少しずつほどけていくのを感じている。
                      「私の失敗も、どうやら誰かの役に立てたようだ」
                      領主は少しだけ自嘲を込めて笑った。
                      その笑みに、ジュジュも少し救われた気がする。
                      私は、一体なににこだわっていたのかしら。
                      そう思う心に、もう妬みや羨望はない。
                      「領主様、私早く薬を取って戻り、サーシャの為にウエディングドレスを仕立て直さなくちゃならないの」
                      そう言ったジュジュの指先にある指輪が、今までになく美しく輝いた。
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