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“播磨”が呉鎮守府へ帰還すると既に一報が入っていたらしく、三笠元帥や軍令部からやってきたとおぼしき一団が桟橋で出迎えた。「ご苦労だった、無事に鳳翔夫人を救出出来たようだな…諸悪の根源である、深海磨鎖鬼とやらも討伐出来たとのこと。
これで深海どもも、少しは大人しくなればよいのだが…」
「深海棲艦首領の討伐、鳳翔夫人の無事救出…。
これらの功績に免じて、今回の独断行動の責任追及はお咎め無しという事にしよう。
大将への昇進、そして軍令部はその後に軍の大規模作戦の指揮を執らせ、これらの功績を下地に元帥府へ列する事も考えているそうだ…大出世だな(笑)」
三笠元帥、軍令部総長といった面々が次々に労いや賛辞の声をかけてくる。
提督は肯定とも否定とも取れぬ軽い会釈で流すと、そのまま別の桟橋に係留されているプライベート用の中型クルーザーに乗り込もうとした。
「…敵の首領かは分かりませんが、深海磨鎖鬼は敵ながら思慮深い智将であっぱれでした。
もう一度海域へ戻って、海に花を置いて来ようと思います…後の事はそれが終わったらでいいですかね?」
「あぁ、それは構わないが…献花してくるのは明日でも良くないか?
今夜は提督…キミの即日昇進祝いと鳳翔夫人の無事帰還祝いを兼ねたパーティーをしようと思っている。
主役がいなくてはしまらないからな…今は骨休みしていてくれ」
「はぁ…了解です」
そう答えた提督だが…
三笠元帥や軍令部総長他の幹部らが祝いのパーティーを準備している間、ひそかに先述のプライベートクルーザーへ私物を積み込んだ。
「旦那様、今晩の件はいかが致します?
そのご様子ですと、参加されるおつもりはない…と受け取れますが^^;」
「どうせナラ、このままマサキのいた島へ花束をPresentした後、アテのないcruisingするのもいいワネ(笑)」
鳳翔と金剛の話にも曖昧な反応…ひとしきり笑ったあとに顔を見合わせた彼女達は、真顔に戻って尋ねた。
「…どうしたノ、darling?」
「何か…思う所がおありなのですか?」
「仮にも出発前、軍を辞めると公言した身だ。
元帥も総長も目を瞑ってくれたみたいだが…俺としては階級も称号も興味が無いし、もう軍に未練もない。
このまま本当に辞めて実家へ帰ろうと思っている」