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艦これSS倶楽部

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  • 【SS構想仮置き場・22】

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    > エルムさん

    “播磨”が呉鎮守府へ帰還すると既に一報が入っていたらしく、三笠元帥や軍令部からやってきたとおぼしき一団が桟橋で出迎えた。

    「ご苦労だった、無事に鳳翔夫人を救出出来たようだな…諸悪の根源である、深海磨鎖鬼とやらも討伐出来たとのこと。
    これで深海どもも、少しは大人しくなればよいのだが…」

    「深海棲艦首領の討伐、鳳翔夫人の無事救出…。
    これらの功績に免じて、今回の独断行動の責任追及はお咎め無しという事にしよう。
    大将への昇進、そして軍令部はその後に軍の大規模作戦の指揮を執らせ、これらの功績を下地に元帥府へ列する事も考えているそうだ…大出世だな(笑)」

    三笠元帥、軍令部総長といった面々が次々に労いや賛辞の声をかけてくる。

    提督は肯定とも否定とも取れぬ軽い会釈で流すと、そのまま別の桟橋に係留されているプライベート用の中型クルーザーに乗り込もうとした。

    「…敵の首領かは分かりませんが、深海磨鎖鬼は敵ながら思慮深い智将であっぱれでした。
    もう一度海域へ戻って、海に花を置いて来ようと思います…後の事はそれが終わったらでいいですかね?」

    「あぁ、それは構わないが…献花してくるのは明日でも良くないか?
    今夜は提督…キミの即日昇進祝いと鳳翔夫人の無事帰還祝いを兼ねたパーティーをしようと思っている。
    主役がいなくてはしまらないからな…今は骨休みしていてくれ」

    「はぁ…了解です」

    そう答えた提督だが…
    三笠元帥や軍令部総長他の幹部らが祝いのパーティーを準備している間、ひそかに先述のプライベートクルーザーへ私物を積み込んだ。

    「旦那様、今晩の件はいかが致します?
    そのご様子ですと、参加されるおつもりはない…と受け取れますが^^;」

    「どうせナラ、このままマサキのいた島へ花束をPresentした後、アテのないcruisingするのもいいワネ(笑)」

    鳳翔と金剛の話にも曖昧な反応…ひとしきり笑ったあとに顔を見合わせた彼女達は、真顔に戻って尋ねた。

    「…どうしたノ、darling?」
    「何か…思う所がおありなのですか?」

    「仮にも出発前、軍を辞めると公言した身だ。
    元帥も総長も目を瞑ってくれたみたいだが…俺としては階級も称号も興味が無いし、もう軍に未練もない。
    このまま本当に辞めて実家へ帰ろうと思っている」
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      > エルムさん

      「そうですか…。
      このところ深海棲艦の動きも不活発になってきておりますし、私も退役…身の引き時なのかもしれません。
      無論、妻を置いて実家へお戻りになられるなんて事はなさいませんよね?(笑)」

      「ワタシも連れてってくれるんデショ?
      夫に捨てられた妻なんテ、あまりに惨めでここの居場所すらなくなってしまうワ…そうなったら恨むワヨ?(笑)」

      「…付いてきてくれるか?(笑)」

      無言で頷く金剛と鳳翔…そして。

      「さっきからサ、なァーに面白そうな話してんのカナァ~?
      “軍辞めて実家に帰る”…? アタシはどーなんの、カノジョ捨てていくん? 泣くよアタシ(苦笑)」

      「…まぁ、深海磨鎖鬼が本当に首魁だったのなら、今後の敵出現率は減少していくのでしょうね。
      ならば、正規空母の出番も減って手隙になるはず…私もそちらへ行きましょう。
      全く別の生き方を模索するというのも…案外、悪くないです」

      「軽巡の出番も減りそうよね…精鋭の二水戦も、私がいなくたってやっていけそうだし。
      よし決めた、私も提督についていくわ…まだご両親にアイサツもしてないしね?(笑)」

      「え!? 提督さん、帰っちゃうッぽぃ!?
      ふーん…じゃあ飼い主に犬が付いていくのは当たり前よね、夕立ももちろん連れていくんでしょ?(笑)」

      「今度は陸上での雌犬任務ですね…りょうかいですッ!!
      どんな環境でも、朝潮はご主人さま第一ですのでッ…ごいっしょに♪」

      「軍を辞めても、司令官の身辺護衛は必要ですよね?
      最近は陸でも物騒で治安が良くない所もありますし…ってコトで、吹雪も付いていきますっ♪
      あ、そちらの中学校への転入手続き…お願いしちゃってもいいですか?(笑)」

      鈴谷・熊野・加賀・矢矧・夕立・朝潮・吹雪といった、提督と特に親しい艦娘達が当たり前のように同行を希望してくる。

      思いとどまらせようと一瞬考えたが…一目で全員その可能性がない様子だと悟り、提督もまた苦笑いで手を差し出すのだった。

      「ったく、お前らみんな付いてくるのか(笑)
      そうだな・・・ここまで来たら人生の航海、頼むぜ?」

      「「「「「「もちろんっ!!」」」」」

      差し出された提督の手に、艦娘達が一斉に重ねていく。
      それを見ていた金剛と鳳翔は、またしても顔を見合わせる。
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        > エルムさん

        「薄々そんな予感はしていましたが…これで鎮守府の皆さんと今生の別れなんて事には、ならなそうですね^^;」

        「Darlingの実家へこんなに押しかけて、大丈夫カシラ…。
        また賑やかになりそうネ(笑)」

        その後、瞬く間に鎮守府の艦娘たちへこの話が広まり、さらに榛名や大和などが加わる。
        長門や武蔵はこの話を知った上で、軍に残留する事を決めた…やはり誰かが残らなくてはならない、自分は軍人向きだからと思ったらしい。

        夜、鎮守府大ホールでのパーティー準備が完了した旨、三笠元帥じきじきに本館へ伝えに来た時。
        既に執務室は初期調度品のデスク・椅子と段ボール箱のみとなっており、提督が1人ドアを閉じようとしていた。

        「・・・行くのか」

        「……元帥。自分は…」

        「軍脱退の発言を気にしているのか、それはもういいんだ…責任を取らなくても良い」

        「いえ…そうではありません。もう、軍に未練が無いんです。
        執務にも軍務にも身が入らないでしょう…ならば潔く身を引いて去った方がいい、そう思っただけの事です」

        「鳳翔も金剛も見当たらない…いや、それどころか何人もキミの艦娘がいないが…。
        まさか、みんな付いていくと言い出したのか? 冗談だろう?(笑)」

        「もうみんな、クルーザーに乗ってますよ。俺もビックリしました(笑)」

        「ハァ…誰も彼も優秀な素質を持つ者ばかりじゃないか、こんなに抜けられては鎮守府がガタガタになるぞ。
        この穴埋めをするには時間がかかる、キミとその艦娘達のように深い信頼性という絆で結ばれた人材はそうそう見つからんのでな…。
        いや…硬直思考や単純な軍艦思考でない、キミとその艦娘は唯一無二なのだ。
        出来れば思いとどまって欲しいものだが…ここまで行動に移している以上、叶わぬ望みか」

        「・・・申し訳ありません、元帥」
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          > エルムさん

          「・・・良い。長きに渡る軍務、ご苦労だった。
          ありきたりな物ですまないが、この勲章は私が作った特製の餞別だ・・・受け取ってくれ。
          この帆船のように順風満帆な人生かつ、日々の安寧を祈る。
          さぁ行きたまえ・・・達者でな、さらばだ」

          海原を行く帆船がデザインされた手のひら大の金製勲章を受け取った提督は、深々とお辞儀した…もう、軍人ではないのだ。

          暗闇に紛れ桟橋へ駆けて行くその背中を見ながら、三笠は一人呟く。

          「・・・艦娘となった後世でも、これだけの良き若者がいる。
          まだまだこの国は捨てたものじゃないようですよ? …東郷提督」

          ・・・・・・

          ザザザザ

          提督と鳳翔・金剛は八丈島近海の例の火山島…あの戦いの後に最後に立った岸壁で、シオン・クリスマスローズといった花束を地に供えた。

          「…それで鳳翔さん、深海磨鎖鬼とその一味について分かった事があるそうですが?」

          「はい、旦那様。呉を旅立つ前…地下の資料室で調べたものです。
          まだ艦娘が現在のように一般認知や軍による大規模運用がなされていなかった頃…私達のように深い絆で結ばれたある提督と艦娘の部隊が、行方不明になったという記録が残っております。
          試験運用の域を出ておらず、太平洋の小さな島嶼部を拠点としていたようでして、救援要請を打つ間もなく襲撃により全滅したのでは…と推測されています」

          「じゃあ、その行方不明になったのが深海磨鎖鬼や戦艦棲姫の変異個体になった可能性がある…ッテ事カシラ?」

          提督は手を合わせる。
          どうりで高速修復剤などを保有し、しかも有効活用出来ていたわけだ。
          そしてクルーザーへ向けて踵を返した時、カシャンと硬い何かが放り出される音が響く。

          「・・・?」

          「これ、三笠刀!? マサキと一緒に失ったと思ってタのに…」

          「まさか、深海磨鎖鬼が生きて…?」

          キョロキョロと周囲を見回す3人だが、どこにも怪しい影は見当たらなかった。

          去って行く3人から離れた後方…大き目の岩の上、ふいにバサリとマントを翻しながら男が出現する。

          「・・・忘れ物ですよ? 勇敢な戦艦の娘さん。
          鳳翔さん、貴女のおかげで私の鎖も知る事が出来ました・・・我が鎖は“運命の鎖”・・・。
          深海磨鎖鬼を永遠に演じ続ける、悲しい鎖なのだと」

          【艦これ二次創作最終作品・終】
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            > エルムさん

            主なき呉鎮守府屋上

            三笠元帥、寂しげな表情で提督の去った方を眺めている

            ??「そろそろ来ると思ってたよ」

            不意の声にも特段驚いた風もなく、ゆっくりと声の方向を振り返った

            三笠「朝日…技師長」

            貯水タンクの上に腰掛けている朝日技師長
            いつものウイッグでなく、ブロンドの髪が月明かりに照らされる

            朝日「あぁ、行っちまったねぇ…」

            三笠「えぇ、その事で…」

            いつもの威厳を消し、弱気な表情を見せる三笠元帥

            朝日「ハハハッ、カシラの事だろ…無理だね。
            アタシはおろか、利根が薦めても絶対に受けないよ…エルム提督の後任は」

            三笠「やっぱり…」

            朝日「カシラはあの提督との付き合いでキレイなモンを山ほど見たが、それ以上に海軍の汚いウラを見過ぎちまってる」

            三笠「……」

            朝日「そんでもって変に義理堅いからねぇ…おそらく過労死するレベルでやり遂げようとするよ、まったく人のいいこった」

            そして月を見上げ

            朝日「ごらんよ…あの月を見上げる余裕すら無くなっちまう、あの人をそんな目にあわせるわけにはいかないわ」

            三笠「よくわかったわ…」

            朝日「でしょう?諦めてもらえるかしら」

            三笠「貴女が…姉さんがあの人を好きだって事が」

            ズダダダダッ!!

            派手に転げ落ちる朝日

            朝日「みっ、三笠っ‥大概にしてっ!!
            なっ、なんでそんなこと…////」

            三笠「途中から女言葉になってたわ‥三笠だから無条件で元帥になれたわけじゃないのよ」

            朝日「ゔ〜…」

            三笠「ずっと現場主義、横須賀でもてはやされる事も教育団でふんぞり返る事も良しとしなかった姉さんだから…明志提督の事も良くわかった、違う?」

            朝日「おっ、面白い…すっ、推理じゃない?」

            三笠「ずっと面倒を見てきた後輩の娘達が傷つくのを居ても立っても居られなくて…南方へ」

            朝日「………で?だとしたらアタシに何を望む訳だい?」

            三笠「…流石ね、初瀬姉さんや八島さんがやられた後に真っ先に立ち直っただけあるわ」

            朝日「アンタのおとぎ話につきあうにはココは寒すぎるんでね」

            三笠「これからも…これからもこの海を…」

            苦悩と寂寥感、そして疲労をその美貌へにじませる三笠元帥
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              > キタカミ@鍾馗斎さん

              朝日「アタシの出自はともかく、アンタの言うような“姉さん”がいたなら…そうだねェ、良くわからないけどきっと」

              朝日技師長は三笠元帥をそっと抱きしめ、その髪を優しく漉きながら

              朝日「『心配いらないわ…よく頑張っているわね、三笠…
              あとは私達を信頼して…どっしりと構えていればいいわ
              貴女はなんと言っても“連合艦隊旗艦”いえ、“艦娘元帥”なんだから』

              ……って言うんじゃないかい?」

              そっと身を離そうとした朝日の身体にしがみつく三笠元帥
              誰にも…世界中の誰にも見せたことの無い表情で涙を浮かべ、身体を震わす

              無理もない…政争と戦いの中、正道を歩む彼女は敵も多い
              そして最も頼りになる提督とその中核をなす戦力はゴッソリと離脱してしまった
              気丈に振る舞っていても心身ともにガタガタだ

              幼い妹をあやすように、朝日はいつまでも彼女を抱きしめその髪を優しく撫でつけるのであった

              ※※※※※※※

              後日、軍属として最上位の階級が中将となる事が法令改正により定められた事が発表される
              また、明志たちミナモト特別警備もその戦力を大きく伸ばす事となるのだが、それは別に語られる事であろう
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                > キタカミ@鍾馗斎さん

                利根「な・・・っ、なんじゃと!」

                柱島の本社事務室に利根の素っ頓狂な声が響く

                明志「驚くには値しない、聞こえなかったのか?」

                利根「きっ、聞こえておるわ!じゃからこんなに驚いておるのだ。間違い、というわけではないのじゃな」

                大淀「はい・・提督は一月いっぱいで退官、呉鎮守府は後任の提督が決まるまで次席幕僚が臨時に指揮を執られるとのこと」

                明志「・・・我々にとっては頭がすげ変わるだけのことだ」

                利根「あっ・・明志!お主は・・・」

                明志「うち続く提督の退官は歯止めがきかん、深海の攻勢が和らいだのではなく…逆に大攻勢の準備だとしたら?」

                利根「・・・・」

                明志「我々は備えなくてはならん。そして、この戦いに提督を巻き込むわけには…もはやゆくまい」

                利根「しかし、しかし別れもなしに・・」

                明志「そんなヒマはない、すでに南西諸島では不穏な動きが見られているという」

                利根「・・・・わかっておる、わかっておるのじゃが」

                大淀は別件ですが、と書類を差し出す

                明志「ふむ、それよりも今後の補給体制について立て直しが必要か・・一度挨拶に行っておかねばな」

                ===群馬県 T市Y町===
                広島科薬Y工場

                工場長「わざわざ代表がお越しになるとは」

                明志「いえいえ、江田島・吉井の両工場がいまや日本の生命線と言っても過言ではありません」

                そびえ立つ巡洋戦艦のマストを利用したオブジェを見上げながら挨拶をする明志

                工場長「ウチが供給できるのは皆さんが物流をきちんと確保して下さっているからに他なりません、今後ともよろしくお願い申し上げます」

                表敬訪問を終えた明志、自身のスカイラインに乗り込む

                キュォォォォ

                独特のエンジン音を響かせ、来たときとは違う道を走り出した

                利根「どこに行くのじゃ、明志?」
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                  カイト
                  「そうか…
                  エルム提督は退役なさるか…」
                  大淀
                  「ハイ」
                  カイト
                  「民間出身でここまで戦い抜いて頂き本当に頭が上がりません。貴方が抜けてしまうのは戦力的には痛いですが…日本の国防は貴方と
                  同じ意思をもつ我々職業軍人提督
                  や全国各地の提督が
                  が引き続き守っていきます。
                  今後はご家族と
                  幸せな家庭を築いて下さい
                  とエルム氏に伝えてくれ」
                  大淀
                  「…了解しました。あの提督は…」
                  カイト
                  「心配するな。俺は辞めない。
                  例えこの戦いで己の身体が
                  どんなに酷い状態になったとしても
                  第三司令部所属員が誰一人
                  欠けることなく終戦を迎える事が
                  俺に課せられた仕事であり
                  己に課した使命だからな」
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                    > キタカミ@鍾馗斎さん

                    明志は黙って車を走らせた
                    いつもと違う様子に利根は日進のシートベルトを確認すると、なにも言わずにシートに背を預ける

                    明志「・・・・・」

                    利根「・・・(わかっておる、お主が本当は一番寂しいことを・・)」

                    これまでの思い出が利根の胸中を去来する

                    ━━━━━━ハワイでの出会い

                    ━━━━━━共に背中を預けて戦ったシンガポール

                    ━━━━━━鍋を前に奮闘する利根に出汁の取り方を教授される

                    ━━━━━━気鋭に押され、一太刀も交えることなく膝をつく利根

                    ━━━━━━日進が宿り、洗面器飯を平らげる利根とそれを微笑ましく見守る鳳翔夫人

                    ━━━━━━ハワイ沖での日進の出産・・

                    ━━━━━━熱心に育児について意見を交わしあう日々

                    利根「・・・・・(今となってはよき思い出じゃな・・)」

                    その間もナビの案内に従いながら車を運転する明志

                    明志「・・・・あれか」

                    車は前を走る白いシビックの後ろにつくとしばらく走り、右車線へ出てその隣につける

                    ウィィィィィ・・・

                    ウインドウをあけた明志、かるくホーンを鳴らした

                    ピッ!

                    運転席の青年、驚いたようにこちらを見つめるとすぐにウインドウを開ける

                    明志「別れの挨拶ぐらいさせて下さいよ、提督」

                    エルム提督「明志提督ですか、私はもう提督ではありませんよ」

                    屈託のない笑顔で応えるエルム提督

                    明志「それを言うなら私は最初から“提督”ではありません・・“代表”ですがね」

                    エルム提督「そうでしたね、明志“提督”・・・この先にちょうどいい展望台がある、そちらへ」

                    明志「・・・・・・」

                    黙って頷いた明志、エルム提督のシビックの後にスカイラインを後続して走らせる
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                      > キタカミ@鍾馗斎さん

                      少し走った先、展望台の併設されているパーキングに車を滑り込ませたときにはもうだいぶん日は陰っていた
                      車から降りる明志とエルム提督
                      続いて利根と日進、エルム提督は鳳翔夫人が車から降りるのをエスコートしている
                      いつもと違い、わずかに足がおぼつかない夫人

                      明志「…まだ先の戦いの傷が…」

                      その言葉に利根はわずかに口をほころばせ

                      利根「いや、そうではない・・吾輩、久しぶりにお主を出し抜けたかのう」

                      明志「…?」

                      鳳翔夫人の元に駆け寄る利根

                      利根「鳳翔殿・・その、なんというか・・・」

                      鳳翔「……」

                      ただニコニコと微笑む夫人

                      利根「再戦の機会が失われたのは残念じゃが…グスッ…しかし、なんというか…グスッ…」

                      色々な思い出がこみ上げてきて目に涙を浮かべる利根

                      利根「まだまだ色々吾輩は鳳翔殿に・・」

                      日進、トテトテ…と走り寄ってくるなり

                      日進「ははじょう(母上)をいじめてはいかん!わしがあいてになるのじゃ」

                      涙を浮かべる利根の前に立ちはだかり、鳳翔夫人を睨みつける

                      利根「こ、これ日進っ!違うのじゃ」

                      その様子に鳳翔夫人

                      鳳翔「いいんですよ…利根さん、もう貴女が“お母さん”なのですからね」

                      利根「う、うむ…じゃが、吾輩にとってはいまでも鳳翔殿はお母さんじゃ…」

                      日進「つまりははじょう(母上)のははじょう(母上)なのじゃな!ならばわしのおばあS…モゴモゴッ!」

                      ━━とねはとっさににっしんのくちをふさいだ!━━

                      利根「すっ、すまぬ鳳翔殿…それに」

                      利根は小さく声をひそめ

                      利根「(吾輩の勘じゃが…さらに“お母さん”になるのではないか?鳳翔殿は)」

                      鳳翔「まぁ…やはり利根さんは、もう立派な“お母さん”ですね」

                      にこにこと微笑む鳳翔夫人

                      一方、明志はエルム提督と展望台の手すりに寄りかかりながら

                      明志「お疲れさまでした…当面は悠々自適、ですかね?車でもいじりながら…」

                      エルム提督「いやぁ…扶養家族が増えましたからね」

                      エルム提督もだが、それよりも多くの艦娘の離脱について海軍内部ではさまざまな声が上がった
                      批判の声に対して各地区のエルム提督と懇意にしている提督は容認・擁護する姿勢を示し声明を発表するなどしたが、明志もミナモト在籍の海軍OBや知識人…はては艦娘の人権団体などまで巻き込んで、彼らが平穏に暮らせるよう手を打ったのだ
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