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「…じゃあ私達は先に出るわ。大和、貴女は“着付け”が終わったらゆっくり出てきて頂戴。
貴女を待っている“人々”へ、その姿をジックリ見せつけるためにね?」
「分かったわ。先に艦隊の整列と指揮、お願い」
「…似合ってるな、大和。
フネの頃も艦娘としての現在(いま)も、本当に美しい…あの頃、私の乗組員達もどれだけの者が見惚れていたか」
「ふふっ、ありがとう冬月さん。
でもこれは、貴女のお披露目でもあるから…胸を張ってもいいのよ?(笑)」
頷いた冬月は矢矧の後に続いて工廠のゲートをくぐり、外界の光の中へ消えていく。
残された大和は自分の胸元や腰元、足元を確認していく。
背後では明石が大型の両開きスタンドミラーを持って立ち、大和が最終確認をしやすいようにしている。
「艤装制服の上に羽織った、膝下まで丈のある薄桃色の着物・桜飾りのついた大きな簪…。
ちょっと意識しすぎじゃないでしょうか、明石さん?(汗)」
「これでいいんですよ大和さん、イメージは大事。
“花魁”…それがフネの時も今も、貴女の共通イメージなんですから。
矢矧さん達は従者の役…つまり、この式典は貴女の花魁道中なんです(笑)」
「お、お父様ぁぁ~~っ!!(泣き笑い)」
さすがにこれはやりすぎ、羞恥心が…と心の中で叫びながら泣き笑いを浮かべる大和。
そして…とん、と背中を押さた勢いのままに微速前進を始める。
眩しさに目をしかめつつ和傘を差しながら、しずしずと湾内へ進み出て行く。
目が慣れてきたので和傘を後ろへずらし顔を上げると、目の前に雪風が手を差し出していた。
「改二改装おめでとうございます、大和さんっ!!♪」
冬月・涼月・初霜・浜風・霞・磯風・朝霜が両脇に、そして一番奥…湾外の方向に矢矧が腰に手を当てていた。
雪風の声に全員が振り向いて笑う…より美麗になった大和への称賛、あるいは茶化し、あるいは遅れた事など様々な意味を込めた笑みだ。
大和もつられて笑う…そして一言。
「“やっと”…全員揃ったのね…。これで征けるわ」
ワアアアアアアッッ!!
湾内をどよもすほどの歓声が響き渡ったのは、その時だった。