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事実上の左遷である。
だが、自らの身の上を憂える贅沢など許されなかった。
すべきことは、多くある。
かつて虚空に浮かぶ凍りついた石ころに過ぎなかった第11番惑星は、ガミラスが設置した人工太陽の恩恵を受け、今では植民惑星として開拓が進んでいる。インフラが整備され、小規模ながら市場も生まれ、自給自足体制も整い、人々が日常生活を送れる基盤が確立している。
新世界が生まれつつあるのだ。
だが、大きな問題も抱えている。
「司令、新たな戦闘艦の配備の件ですが…」部下が言いにくそうに報告する。「却下されました」
「参謀本部は、この星を守る気がないようだ」かぶりを振りつつ、土方は思い直す。いや、参謀本部というより、芹沢がだ。
今の地球では、軍務局長であるあの男が絶大な力を振るっている。
芹沢の頭には、拡大政策しかない。だが、その拡大政策の中に、どういうわけか、太陽系の最も外縁に位置するこの第11番惑星の防衛は入っていないようだ。
これでは万が一、外敵から侵略を受けた場合、ひとたまりもない。
もっとも、ガミラスとの戦いが終わった今、この宇宙に大きな脅威など存在しない、というのが、参謀本部と芹沢の考えだ。ならばなぜ、波動砲艦隊計画などを進めるのか、という論理的矛盾もあるのだが…
いずれにせよ、今この星は無防備だ。
そして、この星に住む者全員の命が、自分の双肩にかかっている。
「警戒を怠るな」土方司令は、部下に厳命する。「今、我々にできることは、それしかない」