「・・・長、艦長、同志オルバーコフ艦長!」
「ん、ああ、起きてる。何が起きた?」
ボラ―軍巡洋戦艦『グーナ』艦長であるニコーレ・オルバーコフ中佐は部下からの呼び声で目を覚ます。
「はぁ、しっかりしてくださいよ。バース星総督のボローズ閣下より通信が入っております」
「ん、モニターに出せ」
モニターの向こうに、ボラー連邦の高級官僚の制服を着た細面の男が映し出される。
「ボローズ閣下」
オルバーコフは立ち上がり敬礼する。
「オルバーコフ中佐、貴官に新たな命令を伝える。貴官らは我々の後方から航行し、有事の際は掩護せよ」
「は、そのことなのですが・・・」
「なんだ、何が言いたい!!君はこの任務にボラー連邦の命運がかかっていることをわかっているのかね!?」
「えぇ、まぁ。ところであのガトランティス共は信用できるのですか?」
「問題ない、あの蛮族どもは我らの供給するオピロイドがなければ死ぬので、奴が私を裏切ることは絶対ない」
「そうですか・・・」
何故か自信満々に言い切るボローズ。
「言っておくがお前たちも妙な真似をしない方がいいぞ。新型艦だか何だか知らんが、貴様の動き次第で惑星ベルーナは木っ端みじんだからな。そこの所をよく理解しておけ」
それだけ言うとボローズの顔はモニターから途切れた。
「通信終了しました」
「よし、当初の予定通りエラへ向かう。進路をとれ」
オルバーコフの命令のもと『グーナ』はB型戦艦『ヂスラパ』と監視のバース星艦隊所属のA型戦艦2隻を伴い、ガトランティスのミサイル戦艦に案内されるボローズの座上する戦闘空母の後方をゆっくりと追従していくのだった。