地上。寺院を中心に構成された村がひっそりとあった。
ゴルドルバの砲撃被害をかろうじて免れたが、村民は逃げるすべもなく家々の奥深くにひそみ神に祈っていた。
寺院内。孤児たちを中央礼拝所に集め守る修道女が一人。
「お姉ちゃん、このまま死んだら神様のところへ行けるんだよね?」
「死ぬときって痛かったり苦しかったりするのかな」
子供たちはもう死を覚悟しているのか、震える声で少女に尋ねる。
彼女の名はエレノアといった。
「大丈夫よ…すこし眩しさを感じたら、次の瞬間女神さまの御許に着いているから」
「ホント?嘘じゃないよね、僕怖いよ」
「嘘は言わないわ、神の名に誓って」
振り返り祭壇を見る。テレサによく似た女神像がある。
穏やかな微笑みを湛えているが、今日は赤黒い涙のような液体を目から流していた。
(女神像が血の涙を。最終戦争の時人々を哀れんで流すって…これなのね。
私たちの、これが運命なの?受け入れなきゃいけないんですか神様。
この子たちはこの世界の事をまだよく知りもしないのに、あなたの元に召されようとしている。
このような不条理が許されるのですか)
エレノアがそう思いうつむいた時だった。
女神像内部に光が宿り、腕を屈折して指から光が。脇の座席の壊れかけた部位を指し示す。
「これは…」
本が出てくる。
「黙示録。見たことのない巻だわ?」
本には冒頭の頁に二行だけ、こう書かれていた。
(空から破壊者迫る時、砂漠より神の啓示を受けた異星の戦士達来たる。)
(彼らに従い災厄に立ち向かえ、さすれば道は開かれるであろう、神は共にあり)
「天啓?そんなことが…
すがるほか無さそうね、他に希望はないし」
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空では前方への砲撃火線を見ながら、グラディスが焦れ始めていた。
「ガトランティス・・・粘りおるわ。厄介な物を持ち出しおって」