星を食らったゴルドルバと言えど、エネルギーは無尽蔵ではない。
景気よく撃っていればいつかは枯渇してしまう。
早く殲滅せねば・・
そんな彼の目の端に、エラ地表の爆炎の切れ目にかすかなきらめきが認められた。
「む・・・」
左手を伸ばし、ブースの上に添える。と、手は瞬時に無数のコネクターを露出させた。
そこへコードギミックが次々と繋がれていく。
「拡大投影」
空中にモニターが現れ、数段階に拡大されていく。
ここでゴルバが裂けて火柱を上げているのに、彼はようやく気が付いた。
そばで斬り結んでいる2機の戦闘機らしい機体も映し出される。
「おのれ。小虫の分際で小賢しい。火気管制」
今度は武装の選択画面が横からせり出す。
視線の先で高速選択していくグラディス。
ナノブラックホールを撃つべく、触手の一本がうねり地表へ指向された。
「司令、それでは星にダメージが…」
ジェラルドはあわてて制止する。
「あの邪魔者共のいる空間のみを異次元転送するだけよ。加減はする」
「は、はぁ…」
「目障りなのだ。あのムールもな」
リターンキーが押される。
「消えよ」
ジェネレーターが唸り、分離されたナノブラックホール弾が発射管となった触手を走った。
・・・・
「!」
テレサは気が付いた。わずか先の時間に干渉する何かが迫っているのを。
この宇宙以外の意思の干渉なので、全時間線を平行に見ることのできる彼女の力をもってしても
事態の詳細をおぼろげにしか察知できないのだ。
「アル、砲撃が来ます!もう時間がありませんよ!」